2010年2月5日金曜日

節分のこと

  2月2日はベルギーではクレープを食べる日だという。在住日本人向けの情報誌に書いてあったので、面白いから、家でやってみようかな、と思っていたところ、当日、幼稚園の帰りに子供が「今日はクレープを焼いたんだよ!」と興奮して言う。そういえば、去年のクラスでもクレープを焼いたことがあったな……と思い出し、メイルボックスをあさって見ると、母親宛に幼稚園で自分たちでクレープを作ったんだって、と書いたメイルがあり、やはり2月2日だった。去年はまったく意識しなかった(むしろ食育的なものだと思っていた)けれど、これは行事食だったのか。
 情報誌に、この日のChandeleur(聖燭節)という名前が出ていたので、さっそくWikipediaに行って、さらに調べてみると、クレープを食べるという習慣がやはり出ている。丸く焼いて太陽に模して食べることで、冬の終わりを祝うもので、それはフランス、ベルギー、スイスの習慣だという。面白いので、そのままそれをドイツ語ページに跳んでみると、ドイツの記述にはクレープを食べる習慣が出てこない。キリストが誕生日の40日後、神殿を訪れた日(初めて清められた日)を記念しているのだと言うが、こういう土地限定なのは、ゲルマン民族が冬、もみの枝を室内に飾る習慣を取り入れたのと同じで、キリスト教以前の土着の習慣を布教の際に取り入れたのではないだろうか。

 さて、翌3日は日本の節分。豆まきは、日本食材店に行けば炒り豆は手に入るだろうけど、掃除とか面倒だし……とやめることに。恵方巻きもそもそもあまり身近な習慣ではないし、子供が酢飯を嫌うので、やめよう。だが、ちょうど水曜日だったこともあって、子供が家にいるとなにもしないのもなあ、という気持ちになって来た。
 よし、鬼のお面だけでも作るか! まず、二人で下書きをしてみる。子供も、イメージがあるのか「目が怖い! きばがすごいよ〜」などと言いながら描いている。その後、束で与えてある色上質紙に描く。子供は、いつものぬいぐるみのレギュラー陣にもあげたいと言い出し、机に連れてくる。「みんなの分ありますから、順番に並んで待っていてください!」などと指示して並ばせている。子供が描いて、私が切り抜く。赤鬼、ピンク鬼、オレンジ鬼、水色鬼……、パステル調の鬼が出来てくる。子供が「青鬼は角が1本だったよね」と言って、「つーのー1本青鬼どん、つのつの2本赤鬼どん」と歌いだす。あれ? それって保育園で習った歌? と聞くと、嬉しそうにうん、と言っている。そんな記憶が残っていることにちょっと驚く。それでいて、ぬいぐるみたちには、「これは鬼のmasqueです」と説明。フランス語が混じっている。
 最後に、お面の裏側に毛糸をテープで貼って子供やぬいぐるみにかぶせてやる。興が乗って来たので、極小のも作って、プレイモービルの親子の顔にテープで貼ったり。
 パパを驚かせるんだ! と言って、ぬいぐるみたちをソファーに一列に並べていたけれど、帰って来た夫は、大笑い。驚きも恐がりもしなかった、と子供は怒っていたが、いやいや、これだけ受ければ充分ですよ。

 ふと、キリスト教が本当に日本に根付いていたら、節分の習慣も、聖燭節のイベントとして型襟継がれるようになっていたかもしれない――などと思う。恵方巻きはエルサレムの方を向いて食べることになっていたりして、などと妄想する。

 今月の中旬には、大々的なお祭り「Carnaval」がやってくる。身もふたもないまとめ方をすると、キリストの受難の日を前に、ばか騒ぎをしてごちそうを食べ納めしておく――というものだが、ドイツではRosenmontagと呼ばれる中心となる月曜日(今年は15日)からの一週間は、学校も休みになる。仮装や行列がイベントの中心になり、ベルギーでは、世界遺産の無形文化財に指定されている土地もあって、土地ごとに独特な仮面をかぶる。幼稚園では年中クラスで、この時期には仮面博物館に行って、それらを学ばされるし、今のクラスでも、ベルギーCarnaval地図を先生が作って貼り出していた。そして、紙皿を使ってお面を作ったり、作りたいお面の絵を描かされたりもしている。子供は牛のお面を描いていた。やつの頭の中では、これらの習慣がどのように記憶/整理されているのだろうか。

0 件のコメント: