2009年12月16日水曜日

ドイツ物欲の旅のこと 後篇

 さて、次の目的地はエッセン。

 まずは、世界遺産になっているZollvereinへ。ここは、世界遺産といっても近代遺産。昔社会科で習って、耳障りが良いので覚えていた「ルール工業地帯」の炭坑あと。巨大な施設を一部現代美術館に使っていたり、また、炭坑あとの見学が出来たり。以前、見に来てスケールの大きさと、今は使われていないが、機械やトロッコ等の力強さに感動した――のだが、今回、あまりに下調べせずふらっと来てしまったので、ちゃんと見学できず、そとからぐるぐる回って見て、そのまま街の中心へ行く。
 この日は、日曜日だったので、普通の商店は閉まっている。クリスマス市を流して、屋台飯を食べる。ベジタリアン屋台のシャンピニオンのソテーがおいしかった。子供は、大好きなQuark (クヴァルク=ドイツのフレッシュチーズ)入りの生地で作った揚げドーナツに大喜び。このお菓子、主にカーニヴァルで食べるお祭りのお菓子。
 このエッセンのクリスマス市には、移動遊園施設がいくつか来ているので、子供は喜々として乗る。メリーゴーラウンドや、ブランコがひたすらぐるぐる回るのとか――私は確実に酔うのでぜったい乗らないのだが、夫は何回かつきあって、目を回していた。子供はどうして平気なんだろう。三半規管が未熟だからなのかな。ドイツのクリスマス市らしく、郵便局もブースを出していて、郵趣グッズや記念切手を販売していたり、記念印を捺してくれたりしていて、ついふらふらと近寄ってしまった。でも、もう喜ぶ父もいないので、見るだけにする。
 ここでもホットワイン(Gluewein)を。ドイツのクリスマス市のホットワインは、それぞれオリジナルのカップに入れてくれる。場所ごと、年ごとにイラストも違うし、年号も入っている。デポを払って、容器を返すときに返金してもらうシステムで、そんなわけで、逆に、もらって来てしまう人が多い。コレクションアイテムになっている。ドイツ時代にいくつか集めて、家で使っていたのだが、今回、ブリュッセルには持って来ていなくて、雑に使えるカップがなく不便を感じていた――と言い訳しつつ、ケルンのNeumarktで1個、ここエッセンでも1個もらってしまう。ケルンは、もちろん、ドームが描かれていて、また今年のNeumarktのテーマらしい天使も描かれている。ここエッセンでは、ハート形にZollvereinの描かれているのがあったので、それをもらってきた。

 このエッセンのクリスマス市の一角に「中世市」というコーナーがあった。そこは、店員さんもみんな中世風の格好をしていて、売っている物も古めかしい感じ。パンは薪窯で焼いているし、騎士のような格好も、木の短剣なんかも売っている。
 ヨーロッパの人たちにとって中世はある種のノスタルジーなイメージがあるのか、折々に、各地で中世祭りが開かれて、騎馬戦を見せたり、子供たちに火起こしや甲冑を着る等の体験をさせたりしている。騎士は男の子のあこがれなのか、おもちゃ屋さんでも書店でも騎士ものコーナーがあったりする。騎士のコスプレ?用品が売られていたり、短剣や盾も売られている。プレイモービルにも騎士のシリーズがあるし。日本でいう戦国時代の位置づけか、忍者ごっこやちゃんばらを男の子たちが好むようなものなのか。
 そこに手回しのハンドルでぐるぐる回してくれるブランコの遊具があり、うちのは大喜び。スピードも出るし、「もう一回!」と子供たちが叫ぶと、係の人(これも中世風衣装)が、応じて回してくれたり逆回ししてくれたりが、面白いらしい。旅の終わりに、一番気に入った物を子供に聞いたらこれを挙げていた。

 エッセンを出て、次に向かうはミュンスター。ここもおおきなクリスマス市がある。ホテルにチェックインしてまた市を流す。これまでもクリスマス市では、少しずつクリスマスオーナメントを買っていたので、今回は、ここでは必ず買う、と思い、集中して見てみた。去年は、ガラス細工のをいくつか買ったので、今年は錫の透かし彫りみたいになったもので、雪だるまに動物たちが群がっている形の物にする。夫も、木で透かし彫りにした中に明かりを入れた飾り(これはツリーではなくて、卓上の物)を一つ買う、というので、みんなで選ぶ。以前、本場のザイフェンという街で、ろうそくの力でくるくる回る飾りを買ったのだが、引っ越しの際、軸を曲げてしまい、回らなくなってしまったのだ。ここでもホットワインを買って、容器ももらってくる。

 夜ご飯に出かけた時、健康器具店?のショウウィンドウに、私が探していたショルダーウォーマーというのだろうか、肩部分だけあるアンゴラで出来ている羽織る形のシャツを発見。ドイツで一つだけ買って使っていて、また、このベルギーでも必要を感じていたので、探していたのだ。日本では使わないんだけどね〜。朝9時から開いているというので、翌朝、早起きして一人で買いに行った。こういう血圧計とか、脚気をしらべるためのハンマーとか健康下着、サポーターのたぐいを集めて売っている店、ドイツでは良く見つかるのだが、目立つようにショウウィンドウを工夫してあるということなのだろうか。ドイツは年寄り文化がちゃんと地位を得ているのかも(勝手な感想です)。

 さてさて。翌日はミュンスターでの目的地Westfahrenstoff。これは布地の会社。クラシックなプリントのしっかりしたコットン生地を多く作っている。最初の出会いは横浜の元町にあった布地屋さんだったかと思う。ボンでも、一軒おもちゃ屋さんでここの生地やハンカチ、子供服等を置いているところがあった。ヴァルドルフ人形作家のサイトで「洋服はWestfahrenstoffの物を使用」とわざわざ書かれていたのがあって、手作り好きには愛好家が多いのではないかと思う。
 出がけにホテルの駐車場から車を出そうとして、底を擦ってしまう。嫌な音がしたなあと思ったが、そのまま出発したら、どんどん音がひどくなって行く。なにか引きずっているような音。車を停めて夫が見てみると、底板が外れているという。どーするどーすると思うが、夫はとりあえず、Westfahrenstoffまでは行くと言う。ついたところで、アウトレットの売り場の女性に、この近くに自動車を修理してくれるところはないか尋ねると、なんと隣がそうだという。そのアウトレットには同じミュンスターにあるおもちゃ会社Spielbergのスペースもあって、子供の大好きなPrinzessin Lillifeeのキャラクターグッズがたくさんあって、子供もいきなりはまる。目の色の変わった私たちを置いて、夫は修理を頼みに行った。
 もちろん、棚にきちんとした量り売りの布もあるが、床に、それぞれ25ユーロ/kg、とか、1枚2ユーロとか、書かれた段ボールが置いてあって、布地がぎっしり詰まっている。もちろん、値段によって状態はまるで違って、切り方が斜めだったり、妙に細長かったりするのが入っている箱もある。
 夫が帰って来て、「30分でやってくれるって! 最初は、もう一人が飯に行ってるから、午後しかできないって言われたんだけど、遠くまで帰るから無理とか粘ったら、引き受けてくれた!」と喜んで言うけど、私も子供も真面目に聞いてない。「だから、ゆっくり見てていいからね……」と夫は寂しそう。えー、30分なんて、そんなわざわざ言うほどゆっくりじゃないじゃん! まあ、彼にはまったく興味のない世界ですからね。
 けっきょく、キロ25ユーロの箱から、割とちゃんとした形に切られているネルのオレンジと緑のチェックの布。これは湯たんぽのカバーを作ろうと思う。パッチワーク用なのか、45×45センチに切られた、これはかなり状態の良い布地の9枚セット。500g入ってて5ユーロ、と書かれた福袋(?)。夫は、いつも福袋の存在を馬鹿にしている私が、そんなものを買って、と驚く。家に帰って開けてみたら、ほんとうに、すごい端切れで、古い見本帳をばらしたのか、穴の開いているのとか、まっすぐに切られてない物が多い。でも、子供相手に遊ぶには面白い。そしてこの会社の創立の元となったテキスタイルデザイナーの作品集を買う。この本には、今も売られている布地も、彼女のデザイン画、レース編みの作品なども載っていてまさに私の好みの一冊。子供にも、カーニヴァルでどうせ使うことになるだろう、と、Lillifeeのバレリーナ衣装を買ってやる。

 無事、車の修理も終わって、帰途につく。昼ご飯を食べにオランダ国境近くの街に寄ったら、通りの名前や地名、さらに食べたパンケーキもオランダ風だったり、アーヘンで高速脇の郊外型スーパーでビールをケース買いしようと思ったら、東欧系移民向けばかりで、やっとドイツの大手チェーンが発見できたり、いろいろしながら帰って来た。

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