2009年10月2日金曜日

どんぐりのこと

 子供はどうしてどんぐりが好きなんだろう。

 東京にいた時、保育園でもよく、園の回りのどんぐりを拾いに散歩に出ていて、たくさん持ち帰ってきていた。また、住んでいた建物の裏が雑木林になっていて、くぬぎが生えているらしく、大きくて丸いどんぐりがたくさん落ちてきていた。それを園に持って行くと、みんながうらやましがるらしく、拾っては、持って行っていた。どんぐりと見ると、常にない状態で集中する。その集中力を他に向けたら、良いのではないかと思うのだが……。
 日本を出る直前に買った『よつばと!8』にもどんぐりは登場するが、あれは日本の秋の風情なのだろうと思っていた。

 が、到着してみると、ブリュッセルには、大量にマロニエの実が落ちているのだった。そして、子供たちも熱心に拾い集めているのだった。この落ちていると、とりあえず拾ってしまう習性は万国共通なのだろうか。ビニール袋やかごを用意して拾い集めたり、座り込んで、お互いのマロニエを自慢し合ったりしている。子供もさっそく拾い「マロニエひろいびとになれるかもしれない!」とよつばの台詞を口走り、夫に「ならなくて良い!」と斬って捨てられていた。
 ボンに住んでいた頃も、みんな熱心にマロニエの実を拾い集めていたが、それには別の理由がある。グミで有名なお菓子のHaribo社の本社がボンにあるのだが、そこに持って行くと、グミと交換してくれるのだという。子連れの大人も、たとえていえば、銀杏探しのような真剣さで拾っていた。今、ネットで調べてみたけれど、このマロニエ集めは、毎年、日を決めたイベントとして実在していた。マロニエ10kgあるいはどんぐり5kgでグミ1kgと交換、一人最高50kgまでと上限まで設定されている。

 さて、今年も秋がやってきた。少し前から、風が強いので、青いうちのどんぐりが落ちていて、子供はさっそく拾ってきて机の中にしまい込んでいて、虫が出てきて驚いていた。どんぐりはちゃんと茶色くなって、乾燥しきってから吟味して拾う――を学んだのだった。でもそろそろ、樹上でちゃんと茶色くなってきたので、どんぐり探検の季節到来宣言を出した。
 マロニエ以外にも、ドイツの国樹で低額€硬貨の図案にもなっているDeutsche Eiche(フランス語ではChêne pédonculé)、紅葉のきれいなChêne rougeなど、どんぐりのなる樹は各種ある。また、ほんとうの栗が、よく植えてあって、落ちているのだが、食べるために植えているのだろうか? 八百屋等では、売っているので(まだあまり見ないが)、食べる習慣はあるのだと思う。だが、その割には、庭木として育てられているものの実は、あまり拾われていない気がするが……。ペットが野生化したのか、どこかから移住してきたのか、あざやかな緑のインコが、栗を好むのか、凶暴なくちばしでいがをこじあけて食べているのはよく見かける。これも子供は拾ってきたが、さすがに食べてみる勇気はない。そのうちに、買ってきて食べよう。

 どんぐりの季節が始まったからか、今週、今季初りすを見た。りすって、春から夏にかけては、まるで姿を見ないが、季節が良いから、樹の上で生活できて、降りてこないのだろうか? 冬場は、よく、地上を走っているのを見かけるのだが。

 はぜのような樹や、桜の樹も紅葉が始まってヨーロッパの秋。秋は私の一番好きな季節。でも、日本のような空高く――の秋の日はこっちでは貴重。真っ白に見える曇天がつづくようになる。夫はこれをオペラ『オセロ』のアリア「大理石のような空」とはこれを指すといい、見ると、曲が自動的に脳内に流れるようになってしまったが、こういう空は好きになれない。

追記:子供が、金曜日に、担任からのメッセージを持ち帰ったが、「今度の月曜日に、園の外に秋を探しにお散歩に出かけます」とある。これはいわゆる「どんぐり探検」というやつなのではないか!?

2 件のコメント:

Asako さんのコメント...

私は小学校三年のときに、どんぐりというのは「しいの実」なのだ、と友人に教えられ(帰国だったので本当に知らなかったにちがいない)、その後も椎の実だけがどんぐりなのだと信じて生きてきたのです。子育てするようになって、くぬぎのも樫のも柏のも全部どんぐりなのだと知ったんです。海を渡ればマロニエもうそうなっちゃうんですねーーー。
日本は銀杏の季節になりましたよ。イチョウの多い公園に行くと臭いです。でも、見上げる木になっているおびただしい数の割に、つぶれているのは少数。たぶん、朝のうち、拾いにきている人たちがいるに違いない。

Amsel さんのコメント...

私も、小学生のときは、校庭に植わっているのがしいの木だけだったので、イコールしいの実だと思っていたかも。本文だとごっちゃに書きましたが、フランス語の小図鑑によると、どんぐり=GlandはChene(樫)の実みたい。マロニエはMarron、栗の実はchantaigne と呼ぶらしいです。ドイツ語でも、今また、Hariboのサイトに行ってみたら、マロニエの実(Kastanien)とどんぐり(Eichern)は別名称でした……。