2009年9月29日火曜日

公共交通機関のこと

 ブリュッセルは、ドイツとは違うところが多く、フランスに似ている――と思うが、ボンと同じで、パリと全く違うところがある。それは、市の公共交通機関の乗り方。
 ボンやその他ドイツの都市と、ブリュッセル、あと、経験ではイタリアもそうだったと思うけれど――には、基本的には、「改札口」というものがない。切符を買って、電車(やバス)に乗り込んで、そこで打刻する。その時間から1時間とか、1時間半とか、時間内なら、乗り換えも、往復も可。ボンでは、一度打刻したら、それを提示すれば良かったし、ブリュッセルでは、時間内なら、何度機械に通しても「transit」扱いになるので、かならず、乗り換えのときには機械に通す。検札のときに、チケット、あるいは打刻がないと罰金になる。
 つまり、逆にいえば検札に運良く会わなければ、いくらでもただ乗りし放題――ということでもある。

 ボンでもブリュッセルでも、検札員は、目立つ格好をして乗り込んでくるので、見えてから、急に打刻する人もいる。もちろん、人を罰するのが目的ではなく、着実に払わせるのが目的だ――ということでは正しいのかもしれないが、ボンの長い地下鉄の場合で、検札している間にどんどん隣の車両に移ったり、停車すれば降りてしまう人たちを何度か目撃した。
 そして、ここブリュッセル――。暮らし始めて一年以上経つのだが、いまのところ、二回しか検札に遭遇していない。もちろん、主婦が住宅地と都心とを往復する路線/時間帯は緩いということかもしれないが……。また、トラムとバスには、打刻機が、車内にあるのだが、地下鉄だけはホームの外(だいたいコンコースで、フロアすら違う)にあるため、電車が近づいてくる! と駆け込むと、打刻の機会を失う(いや……確実に打刻して、ちゃんと次のに乗れば良いのでしょうが、どうも性格上、飛び乗ってしまうので……)。どきどきしながら乗っていると、結局検札は来ない。
 払わなくても払っても、なんとなく釈然としない気持ちが残る。

 ブリュッセルでは、今、ICの電子チケットに移行しようとしているので、きっちり運賃に差をつけている。1回、1時間以内の使用の料金が――
*車内では1回券しか買えず、2ユーロ
*乗る前に買えば、1回券1.7ユーロ
*古いタイプの紙の回数券10回で12.3ユーロ
*電子チケットにチャージする回数券10回で11.2ユーロ。
 私が使っているのは、この電子チケット。suicaやpasmoと同じで、定期券機能を乗せることもできる。電子チケットを作るためには、住民IDでの登録が必要で、写真も必要なので、ある意味、敷居が高いのかもしれない。チャージは自販機で銀行のカード(デビットカードとしての使用)あるいは小銭。紙幣ではチャージできない。私が作った当初は、チャージできる有人窓口が少なかったし、自販機もない駅も多い。私の家の最寄りトラム駅にもない。

 さて先日、乗ってから、回数券が切れていることに気づく。打刻機で残高が確認できないのも、このブリュッセルのICチケットの欠点だと思う。自販機では確認できるし、紙の回数券だと紙に印刷されるので、視認できるのだが……。しょうがないので、2ユーロ払って乗る。帰りの駅では、自販機がないので、ええい、短いから大丈夫! と無賃乗車。検札、来るなら来てみろ、「チケットは持ってるのよ、チャージしたかったんだけどさ、今の駅、自販機ないじゃない?」と言ってやろう! とこういうときだけがんばってフランス語で文章を作ってみるが、来ず。
 そして昨日、出先の駅の自販機でチャージしようとして小銭が足りないことに気づく。一駅分歩いて、買い物をしがてら紙幣を崩す。その駅から乗ろうとすると、大きめの駅なのに、自販機がない。しょうがないので、そこからまた無賃乗車して(いや、その先の乗り換えで打刻するし、この片道まるまる一時間以内に収まるから! という言い訳はあります……)大きなターミナル駅に出て、自販機でチャージしようと思ったら、小銭使用不可状態。
 そこの有人窓口では、チャージできると言うので、してもらう。ところが、打刻機が反応しない。また戻って、これダメだよ、と言ってみたけど、機械上は入金履歴がはいっているので(端末を見せてくれた)、それ以上どうしようもないというので、また戻って、やるが反応しない。自販機で履歴を見ると、なぜか、そこでもチャージされている記録ははいっている。
 打刻機じたいの問題かもしれないと思ったが、その駅に三台ある機械のどれでも反応しないので、また窓口へ戻る。怒ってみせたら、係員が出てきて、一緒にやってくれたけど、とうぜん機械は反応せず。係員が、「今から一時間以内なら、問題ないから、このまま乗れ!」と言う。入金の時間が記録されているわけだから、大丈夫ということか。えー!! でも、検札の人にはその理屈、通じないかもしれないじゃん! 頭の中で必死で「駅でチャージまでしました。打刻機が機能してませんでした。駅の人は問題ないって言いました」と文章を作る。検札さえ来なければ、今日の分はまるまるもうけ、と自分に言い聞かせて、精神の安定を保ちながらそのまま乗って帰ってきた。とうぜん検札なんて来なかったけど、うーん、どんどん、この「ちゃんと払っても払わなくても釈然としない気持ち」が募ってゆくな……。

 しかし、ちゃんとチャージした時からの乗った回数を意識して、つねに前倒しでチャージするような習慣がつけられる人だったら、きっとこんなストレスは感じないのであろう。まだまだ私も未熟ですな!

追記:このあと、都心に出たときに回数券は普通に打刻機に通りました。うーん、それはそれで良かったけど、あのときのいらいらはなんだったんだろう……。

2009年9月24日木曜日

ostheopathieのこと

 仕事も趣味も目を酷使する物ばかり。眼精疲労からくる肩こりには、ずっと悩まされてきた。東京で働いているときには、職場のそば、自宅のそば、いくつもマッサージや整体、鍼等々、リラックス関係のサロンにはお世話になってきた。
 この春、いつもと違う痛みが、左の上腕に走るようになった。いやなしびれもあって、ちょうど、日本に帰国したときに、実家のそばの整形外科に行く。症状を聞き、医者は、手を掴んだり、上に持ち上げたり、脈を診たり――で下った診断が「胸郭出口症候群」。なで肩の人間が、パソコンを使うなど、腕を前にした状態をキープし続けたり、椅子や机の高さが合わない等で不自然な姿勢をとり続けると、なで肩が悪化、鎖骨が下がって、神経や血管を圧迫しているという。温めるとましになるとか、肩甲骨の回りの筋肉を鍛えると良いとか、ストレッチしなさいとか、教わって、塗り薬と痛み止めを処方してもらう。要は、姿勢が悪くて運動不足ってことですな。

 日本のテレビ体操を朝やるようにしたり、暖かくなってきたことも大きいのか、ずっと楽だったのが、このところ、どすんと急に寒い日が来ることがあって、そんなときにまた痛みが出るようになった。ばあさんだ……。
 ブリュッセルでも、どこか、肩こりに効くところはないか――と思い、いろいろ探してみた。日本人セラピストのサロンも発見するが、通うとなると、ちょっと遠いし、探しているうちにヨーロッパならではのものを体験してみようと野望が湧いてきた。

 ヨーロッパでは、整体のようなもので、Kinésithérapieと、ostheopathieというのが一般的らしい。とくにKinésithérapieは、気をつけると、看板を掲げている建物も多いし、妊娠中や産後に紹介されることも多いと、『ベルギー生活便利帳』にも書いてある。ただ、医療機関なので、かかりつけ医の紹介がないと行かれないところも多いらしい。
 ネットでいろいろ探しているうちに、隣の市(とはいえ、うちは市のはじっこなので、かなり近い)Tervurenに、オランダフランス英語ドイツ語に対応しているというostheopathieのサロンを発見。この街は、オランダ語圏なのだけど、イングリッシュスクールがあり、英語圏の人もたくさん住んでいるそうだ。こじんまりとした街で、都心よりは出やすいので、ときどき遊びに行ったりしている。商店では英語が通じやすく楽々。
 ドイツ語のページはまだ工事中だが、とても判りやすいサイト。料金や時間、セラピストの紹介もきちんとしている。夫婦二人+従業員女性一人でやっている。夫はイギリス人、妻はドイツ人とベルギー人のハーフでベルギー育ち。ostheopathieをイギリスで学ぶ時、出会い結婚したそうだ。医者の紹介なしでも受け付けるともある。
 まずは、サロンに出向いてみるが、普通の住宅で、とても、飛び込んで交渉する――が出来そうにないので、電話。女性が出るので、いきなりドイツ語で「ostheopathieの予約をしたい。初診」と言ってみると、ドイツ語で返ってくる。これは楽。「いや、子供が小さいんで、夜は無理」「週末より平日がいいんですけど」「水曜は午前中のみで!」と、言っているうちに、2週間くらい先になってしまった。

 さて、その予約の日がやってきた。サロンの建物に入り、施術室の扉のある廊下で待つ。そのうち、サイトで写真を見た男性が子供を連れてやってきて、奥のプライベート部屋に入って行く「おばあちゃん」という単語(これは蘭独同単語)が聞こえてき、迎える女性の声もする。しばらくして、白衣に着替えた男性が出てきて、施術室に入る。サイトで家族関係まで読んでしまっているので、なんとなく状況が想像でき、こそばゆいようなおかしいような。
 時間になったところで、もう一つの施術室の扉が開き、女性が英語で招いてくれる。カイロプラクティクスと似た施術台があり、PCや書類の置かれた机で対面する。「ドイツ語で話しても良いでしょうか。そのほうが私には良いので」と宣言すると。「かまわない」とドイツ語が返ってくる。
 まずは問診。
*痛みの箇所→首から背中(指で示しつつ)が痛い、とくに左。
 頭痛はしないか→今はしないが、月に一度ほど
 腕には痛みはないか→痛みと言うほどではないがはりはある。
 手先にしびれは出ていないか→それはなし。
*いつからか→もう慢性化しているからな……と思いつつ、今回のきっかけになった「今年の春」と答えると、そんなに長く!? とすごく驚かれるので、「いや、痛いのはときどき、普段ははっている程度。疲れると痛くなる」と言い訳する。
*医者には行ったか、どういう診断だったか→春、日本で医者に行った。肩が前側に湾曲している(身振りで)、結果、鎖骨と肋骨の間(単語が出ないので指を示す)が狭くなり、痛みを生じている。塗り薬と飲み薬のみの処方で、一番ひどかったときだけ使っていた。
*手術したことはあるか。健康面で問題はあるか→なし。

 部屋の隅のついたてを指し、下着だけになるように言われる。施術台に座って、首を触られたり、腕を触られたり。そのあとは、横になって、日本での「ソフト整体」の感じ。筋にそって、優しくおしたり、なぞったりひっぱったりする。指示に合わせて呼吸したり、腕を伸ばしたり組んだり。左側の首のこりは驚かれた。悪いところを指摘されると、得意な気持ちになってしまうのはいかがなものか。
 終わると明らかに体が軽くなり、むしろだるさが出てきている。自分でも、立っているときの姿勢が違って、脚がそろう感じにびっくり。久しぶりに、体に優しいことをしてあげた気持ちになる。次は、1-2週間後に来てくださいと言われ、その割には、ずっと一杯で、ちょっと先になってしまったが、次の予約も入れて、第一回は無事終了。

追記:その後、次回予約を入れた日の都合が悪いことが判ったので、電話。施術中で一時間後にかけ直すと言われるが、まったく連絡がないので、メイルで連絡。つつがなく変更できる。私のドイツ語も、まったくたいしたことないのだが、この程度でもフランス語が出来ればブリュッセル生活も変わるかもなあとは思った。

2009年9月22日火曜日

ウォークマンのこと

 ウォークマンを買った。

 ちょっと都心に出るなんてときに、電車で本を読むと、肩こりがひどくなる。そのため、携帯で音楽を聴いたりしていたのだが、イヤホンを壊してしまい、最初は、イヤホンだけ買おうと思ったが、手頃なのがなく、いっそ携帯音楽プレイヤーを買おうと思ったのだ。
 ところで私は、Macユーザー。正確には、Windowsも乗せているので、起動時に切り替えは効くのだが、一太郎を使うときと、携帯に音楽をコピーするときしか使っていない。なので、ほんとうなら、iPodを買うべきなのだと思う。持ち歩きたいのは音声だけなので、シャッフルに目星をつけていた。が、迷っているうちに新型が出て、それはデザインとして好きじゃない。新型が出てしまうと、旧型は市場から姿を消しつつあるし、スペックとしても弱さを感じてしまう。買いたい。でも、欲しいのがない――なら、あきらめる! とならないんだよなあ。
 最近は、ウォークマンがシェアを伸ばしているという記事を読んだ。でも、ウォークマンはMac対応していないから……。まあ、今だって、携帯に音楽入れるときにはWindows立ち上げてるけど……。
 前に、携帯に音楽を入れる前にも、ウォークマンは購入を検討していて、それは確認済み――だったのだが、またネットで検索してみると、新型はiTuneに対応しているというではないか(正確には、ファイル転送のみ)! 日本語で検索している分には、映像も――の高級機種しか対応していないのだが、ふと気づいて、ソニーのベルギーのページにいってみると、一番シンプルなUSBメモリーに近い形のも、iTuneに対応しているという。念のため、ソニーのショールームにいってみる。目星をつけておいたモデルがあるので「これ、Macで使えますか?」と聞いてみる。「もちろん、でもファイルコピーまでしか出来ないから、プレイリストとかは持ってこられないよ」そこまでは調査済み。「あと、iTuneのファイル形式は、ふつう、iPodやiPhoneでしか聞けないm4aだから、mp3に変換する必要があるよ。まったくAppleは、そういう汎用性のないことをするから……」とひとしきりApple批判。Macのことで困ると、Apple storeに飛び込むが、そこの人も「Apple愛」に満ちているし、そういう話を聞くのは面白い。そのファイル変換に自信がないので「ちょっと考えます」と言って店を出る。欲しかったオレンジも店頭になかったし。3営業日で取り寄せられるとは調べてもらったけれど。
 家に帰って、ネットでファイル変換の方法を調べる。なんだ、簡単なんじゃん! 購入決定! というわけでソニーのショールームの人には悪いけど、在庫の豊富な家電店に出向いて、その場でオレンジのを買う。パッケージ全体でもとても小さく驚くが、充電もPCから直接吸い込む?と知って驚く。そうだったのか……。FMも入る機種なので、家に帰るまではFMを入れていろいろいじってみる。家に帰って、ファイル転送。簡単! 聞ける! 嬉しくなる。

 考えてみると、これまで携帯音楽プレイヤーは、ずっとソニーだった。最初のウォークマンは大学に入る時に父親に買ってもらったもの。父親はカタログ大好き人間なので、入学祝いにウォークマンが欲しいと言ったら、各社のを持ってきてああでもないこうでもないと二人で選んだ。良くは覚えていないけれど、紫がかったグレイのだった。私ばっかりずるい! と兄が怒って、自分も体よく買ってもらっていた。同じのはいやだからと、彼はKENWOODのにしたんだっけ。その後、就職してから自分で一台ウォークマンを買った。シルバーの機体にムンクの「叫び」をキャラクター化したシールを貼っていたが、これはあまり使わないうちにテープ自体が一般的でなくなって処分してしまったように覚えている。
 その後はディスクマン。一台は自分で買った。会社のそばの家電量販店で、底値になるのを待って買ったのでなんだか変な青のしかなく、カエルの写真のシールを貼っていた。その後、妊娠後期に妊娠中毒症で入院したときに、やはり父親に頼んで、ディスクマンを買ってもらった。父親はすでにmp3プレイヤーに移行していて、ぜったいそっちのほうが良いと言われたが、あまり音楽に興味がないので、いちいち、機械に落とす手間をかける気になれず、ディスクマンを指定したのだ。同じ理由で、一度もMDプレイヤーは買わなかった。その時は、血圧を上げてはいけないので、クラシックを聴いていた。夫の好きなブルックナー。今でも、聴くと病室を思い出す。でも、懐かしくて、今回のウォークマンに入れてしまった。ディスクマンは、構造的に弱いのか、私の扱いが粗いためだろうけれど、すぐ、接触が悪くなって、このディスクマンも晩年は、上から押さえつけてフラットに持たないと再生できなくなって、こっちにくる前に処分してしまった。
 
 考えてみたら、5代目になるデジカメも、ずっとサイバーショット。最初に買うときに、ソニーに勤めている友人に相談したときに「レンズで選ぶならニコン、トータルなコストパフォーマンスはオリンパス。でも、この値段を出すというときに『物』としての魅力があるのはソニー」と言ってもらったのがきっかけ。その後も、確かにデジカメにしても、今回の携帯音楽プレイヤーにしても「自分の物にしたい」と思うのはソニーだった。ただのソニー信者? でも、一度買うと、メモリースティック汎用性ないし。排他的なのはソニーもじゃん?

追記:ウォークマン、さくさく使っている。プレイリスト持ってこられないっていうけど、アルバム情報やアーティスト情報は持ってこられて、なにも不自由なし。Mac×iPodだと、もっとすばらしいことができるのだろうか?

2009年9月21日月曜日

Journée sans voitureのこと

 この日曜日は、Journée sans voiture――自動車なしの日曜日だった。9時から19時まで、ブリュッセル市内を、自動車で走ってはいけない日。脱自動車社会への取り組みとして、毎年、9月の日曜日に行われていて、今年9回目。自転車で遊びに行こうと考えていて、少し前から、天気予報が悪くて、一喜一憂していたが、当日は晴れ。喜び勇んで出かけて行った。
 去年は、やっとこの家に入居した直後。自転車はまだなかったから、無料になるトラムに乗って、街中に出て行ったりしたのだ。自動車なしといっても、バスやトラム、緊急車両、タクシーは通るし、市外から知らずに来ちゃうのか、罰則が緩いのか、ときどき、乗用車も走っている。意外に危ない。車道はほとんどが自転車だけど、ベビーカーや、ローラーブレード、馬もいる。

 10時に家を出て夫の職場を目指す。マロニエ並木を通りぬける。ここまでは、緩やかな下りだけど、少し上って、カンブルの森に入る。このあたりで8キロくらい? 夫は子供を後ろに乗せているのでかなりハンデがついている。森まで来ると、馬も犬も増える。マグリットはシュールじゃなくてリアリズムなんじゃないかと思わせるような、木立の中を行く騎馬の女性を眺めながら休憩。また走り出す。
 11時すぎに、夫の職場の近くまで来たので、このそばでお昼ご飯を食べることにし、12時まで、公園で子供を遊ばせることにして、大人は休憩。子供は、ここまではずっと自転車の後ろ座席なので、エネルギーが有り余っていて、走り回っている。
 12時を待って、ブルターニュクレープ屋に行き、お昼ご飯にする。若い男性と、そのお母さんとおぼしき男女がやっている店で、男性がフロア、女性がクレープを焼く。焦がし気味でちょっと焼き方は――?なところもないではないが、美味しい。
 夫の職場の前に出る。午後になって、人出が増えてきている。自転車で埋め尽くされたルイーズ通りを行く。こういう風景を見ると、「教科書で見た北京の自転車通勤の模様」と思ってしまうのだけど、もう北京も自動車社会に移行してしまったというから、このたとえも通じなくなってくるのだろうなあ。

 その後は、アップダウンのある道を、ずっといきたいと思っていたのに、交通が不便でいかれなかったイクセル区立美術館に行くが、展示替え閉館中でがっかり。この回りもイスラム人街が広がっている。さらに進んで、自然史博物館(通称恐竜博物館)に行く。
 この博物館は、子供は遠足で来たことがあるので「説明してよ」「するよするよ! はい、まずはこっちに来てください!」。子供は大はしゃぎ。夫はソファでさぼったりしながらついて歩く。恐竜展示はさすがに面白かった。でも、ベルギーの博物館は、前に、科学博物館のような所でも感じたことだが、判りやすさを目指しているのは良いのだけれど、模型や、映像に頼る傾向があり、なんというか、本物をただ見せることの力強さに欠ける気がする。私の勝手な観察だし、それもまた好きずきだとは思うが――。出ようとすると「説明してくれてありがとうは!?」と子供。いや、感謝するほど説明してくれていないけど。

 外に出ると、ますます人は増えている。車道にテーブルを出してパーティをしているところもあり、見ると、お店ではなくて、一般の家庭だったりして、非日常なこの一日を楽しんでいる感じに見える。そこから、アイス屋台で夫と子供はアイスを買い、坂を一回大きく下って、最後の緩やかなのぼりをのぼって家に到着。15時。5時間の外出だった。
 さすがに疲れていて、だらだらと寝転がったりして過ごす。でも、今日一日を反芻するうちに外で見た、平気で自転車を乗り回す子供たちに刺激されて、やはりうちのも乗れるようにしないと! とまた立ち上がって、子供の自転車を出す。今は、補助輪を外す練習中なのだが、週末ちょっとずつしか乗らないし、週末も、出かけていたりしてすぐ間が空くので、なかなか乗れるようにならない。だいぶ、平気で乗れる時間も延びてきたような気もするが、ちょっとでもバランスを崩すともういやになってしまう。自転車に乗れるようになったら、今日みたいな日に楽しく一緒に出かけられるのに。でも、そうなったらそうなったで、危険な気がして、あまり出かけられなくなるのかも。

 晴れるとまだ、25℃以上になるけれど、どかんと寒い日がときどきやってきて、もう冬は近い。マロニエも実を落とし始めている。

2009年9月14日月曜日

水泳教室のこと

 夏休みにスタージュに通わせて、味を占めたので、9月からは水泳教室に通わせることにした。めぼしをつけたのは、スタージュでも、幼稚園でも使っている区のスポーツセンターの水泳教室。幼稚園にも宣伝が置いてあり、火/木あるいは水/金の16時45分〜と、17時30分〜の2コースで、週二回30分ずつ。金曜日は、休みを伸ばして旅行に行ったりするから、火/木を希望しようと考える。申し込みは、スポーツセンターの水泳教室事務室で、9月4日、8日の16時45分~18時と時間帯が指定されている。

 申し込み当日、15時半に幼稚園から子供をピックして、買い物をしてから回る。まだ30分以上間があるのに、もう事務室の前で待機している人もいるが、まだ少ないし、とスポーツセンターの前庭にある公園で遊ばせる。15分前になって、ならびに行くと人が増えている。でも、まだまだ少ないし、遊ばせておいたのは正解だった――とこのときは思ったのだが、そこからが長かった。
 少し後ろに日本人小学校の男の子たちの親子の集団がいて、少し話す。彼女たちが来たときには、すでに受付は開始していたという。それなのに、列が動く様子がない。
 そのうち、申し込み用紙が配られるので、書き込む。名前、歳などなどはわかるのだけど、申し込みたいクラス(つまり、子供の水泳能力のレベル)が分からない。水泳関係ボキャブラリー皆無。辞書を引きながら考えていると、後ろの女性が、「英語に訳しましょうか?」と話しかけてくれる。ありがたくやってもらうが、はたして、英語でも水泳関係ボキャブラリーは持ち合わせていないのだった。身振りを交えてもらってなんとか理解するが、迷う。一番下のレベル0、「まったく初めて」のほうが安全なのか、一つ上のレベル1、「うつぶせになって浮くことができる、ばた足も出来る」にしておくのか。それより上は、深いプール(90センチ)を使うというので、無理だろう。親切な女性は、さらに「歳はいくつなの? じゃあ、うちと一緒ね、水泳はやったことあるの?」と聞いてくれるので幼稚園と、あと、スタージュでもやっていると話す。「うちもレベル1にしたから、あなたもそうしなさいよ」。素直にレベル1にする。

 まだまだ待つ。パリの出張から早めに直接帰ってきた夫が、ブリュッセルに着いたと電話してくる。「こっちはまだまだかかりそうだよう」。子供は飽きて「プール行きたいプール行きたい」と騒ぐ。「今日は申し込みにきただけだよ、水着も持ってないから無理」。後ろの親子もフランス語でまったく同じ会話をしている。

 しばらくして、出てきた人が並ぶ人々に何かを告げる、列に一斉に動揺が走る。後ろの女性が「なんだかわかりました?」と聞いてくれるので「はい! 火/木はいっぱいってことですね」と自信を持って答えると「水/金がいっぱい、だそうです」。テストか?

 ならんで1時間が経った。ほとんど動いていないように感じる。見切って、ついに夫にSOS、子供と肉を引き取りにきてもらう。

 そして、18時すぎ。夫から電話「夜ご飯でなにかやっておくことある?」と聞かれ「ラムが煮込み用の肉買っちゃって、でも煮込む暇ないし、まだまだかかりそうだし……」とパニックした返事をすると「判った。放っておく」と言われる。

 私の前の前の二人組がやたらと時間がかかっている。うしろの日本人の方たちが「なにかもめているんですか?」と聞いてくるので、ちょっと観察して「どうも、それぞれ兄弟2人で、全員一緒に通わせるところはないかどうか探してるんだと思います。今、レベルを替えて、それでなんとかならないかと交渉しています」けっこうみんな、受付を覗き込んで大騒ぎしている。

 そして、18時半過ぎ、やっと私の番になった。せめて私はてきぱきと済ませよう。受付は女性一人。英語で対応してくれる。登録は、PCじゃないのはもちろん、無地のA3サイズの紙にラフに罫を引いて各時間/各コースのリストを作っているので、一回一回、人数を数えて確認したりしながら、話してくれる。それが罫のある紙で、各クラスの人数ごとに枠を切っておきさえすれば、すこし効率化するんじゃ? と思うのだが……。このレベルだと、火/木は遅い時間になる、と言われ、「じゃ、それでよいです」と即答。レッスン料は頭金だけ払ってあとは振込にする、とする。ここまで順調。リストに名前を書き込んでもらい、券も作ってもらう。一つ一つ手書きだから、またそこに時間がかかる。
 が、次に「レッスンとは別に、入場料が要ります。回数券がありますが利用しますか?」というので「はい」と答えるが「お嬢さんの幼稚園はどこですか?」「Jですが」「だとしたら、**モスコレがあるかもしれない」。そのモスコレと聞こえるものが判らない「モスコレとはなんですか?」「モ-ス-コ-レ」。ゆっくりちゃんと発音してくれるけど、判らない。「学校の事務所に行って問い合わせてみれば判ります」「???」。膠着していると、後ろの女性が「モスコレ、字に書いてあげて!」とアドバイスしてくれる。書いてもらうと「Abonnenment scolaire」学校用定期。なんだ、文字にすればすぐわかるじゃん! それにしても私のヒアリング能力のなさよ。無事終了して、とぼとぼと帰る。結局煮込み用のラムは焼いて食べました。

 幼稚園の事務室で、学校用定期を発行してもらい、さて、当日。15分前に受付を通って、いつもと違う、大部屋の更衣室に入る。25分にプールがわのドアが開いて、子供たちが呼ばれ、シャワーを浴びに行く。更衣室に荷物を置いて、大人も外に出る。
 プールの上の観覧席に上がると、子供が一人で飛び出してきて、そのままプールに入りそうになる。あわてて呼び止めて、子供たちの群れに戻す。この間のA3のリストを手に、先生がひとりひとり名前を聞いて、それぞれのクラスで手をつながせて群れを作る。観覧席から、事務の女性が「その子は、こっちのクラス」「そのクラスには、まだ*人いるはず!」と叫んで整理している。
 初歩クラスは先生一人に子供が7人。水に入って、ジャンプするところから始まり、ビート板を手に持ったり、頭の下に入れたり、お腹の上で抱えたりして往復するのに、うちの子供は、話の途中で飛び出して、頭を掴んで戻されたり、人より多く往復したりしてしまっている。もう一人、やはり活発な男の子がいて、その子と二人で争うようにしている。
 私は、子供の頃、ほんとうに水泳が嫌いで、幼稚園のときと、小学校高学年のときの二回、水泳教室に通わされたが、休むことばかり考えていた。だから、日本にいる時、水泳教室は良い、と、回りの保護者から言われても、なかなかやる気にならなかったのだ。また、夫は習い事全般に消極的で、今回の申し込みもずっと反対していた。でも、こういう姿を見ていると、やっぱり本人の好きなことを理解して伸ばしてやりたいと思う。夫だって、私の撮った写真を見ては楽しみ、泳げるようになると良いね、なんて言ったりしている。

 見ているとあっという間の30分だったが、帰り際、脚がもつれたりして、やっぱり本人は体力を使い切ってきたようだ。さて、これから日も短くなる夕方。週二回、通いきろう。

2009年9月10日木曜日

新学期のこと

 新学年早々、保護者を集めて会が開かれるとお知らせが入ってきた。平日の17時-18時。夫は自分は行く気はないけど、早く帰ってきても良いというので、子供を預けて行ってみる。

 最初は、園庭に全クラス集められて園長が挨拶。当たり前だがフランス語、一言も分からない。言葉が分からないのに行ってもしょうがないのかな、と思いながら来たのだけど、さっそく不安になる。最近、フランス語が出来るつもりになっている子供が、一緒に行って通訳してくれる、とか言っていたのだが、おいてきてしまったし。もちろん、連れてきたところで、そんな助かるわけはないのだが。
 が、各クラスの担任を紹介してくれるのは面白かった。名前を呼ばれると、それぞれ、履いてないスカートをちょっと持ち上げるふりをしたり、大げさにお辞儀をしたり、そもそも、園長挨拶中も、来ている子供に向かっておどけてみたり、先生同士ふざけあっていたり、緊張感はない。
 その後、各クラスに分かれて担任の話を聞く。最初に、誰の親かと名乗り合う。18人クラスなのに、8人しか来ていない。子供を連れてきて、庭で遊ばせている人もいるけれど、小さい子供のいる家でこの時間帯は来にくいのかもしれない。
 担任は、非常に話が長い。pourquoi?-parce que(なぜか?/なぜなら)をしょっちゅうはさんで、ゆっくり慎重に話してくれるので、単語は聞き取りやすいけれど、でも、やっぱり話として掴むまではフランス語力はついていないのだった。教室の中で、実物を見せながら話してくれたことはなんとなく分かったけれど……。

 今は、カレンダーや四季というものを教えているそうで、カレンダーだけで普通のカレンダー、日めくり、いろいろその日に書き込めるようになっている大きなカレンダーがあり、壁に、月の名前と、季節の名前が貼ってあって、今がなんであるか、が分かるようになっている。そこには、幼稚園のそばにある大きな木のそれぞれの季節の写真が貼ってあって、春は新緑、夏は緑、秋は紅葉、冬は雪が積もっている。
 子供たちは今、当番でいろいろな仕事をしていて、カレンダー係が、日めくりをめくり、普通のカレンダーにも、その日が何日であるか示す赤枠を貼ることになっているそうだ。当番には、そのほか、お天気係、筆を洗う係、椅子を片付ける係、鞄を片付ける係、移動する時に列を作らせる係、などなどがある。今、うちの子供はお天気係。カレンダーにその日のお天気を描き込んだり、壁の「今日の天気」のところに天気のマークを貼ったりする。
 机で島を3つ作ってあるが、それは島ごとに「算数」「図形」「パズル」と分けてあるそうで、算数のところでは、簡単な数を使った遊び(書かれている順番にビーズを通す、1/2、1/4、1/6といった円形のパズル、などなど)ができたり、図形のところでは絵を描く。
 また、子供たちの名前をブロック体と筆記体で書かれた札が壁に貼ってある。その札を使って、大文字/小文字、ブロック体/筆記体、シラブル(音節)を学んでいるのだという。これまでと違い、絵を描くとき等は、自分で名前を書かせている。壁に貼ってある子供たちの絵には、確かにたどたどしいながらも名前が書いてある。シラブルは、発音しながら、手を叩くらしいが、やっぱりまだまだ分からない子供がいるという。うちのか? 文字の数、母音の数ともまた違うし、私もシラブル数が分からない名前がある。
 また、読んでいる本、歌の話もしてくれる。そういえば、子供は、新しい学年になってから、いろいろ歌を覚えて帰ってくる。

 そして、遠足やプール、お誕生会の話題になると、実物を見せながらではないので、もうまるで分からなくなってくる。遠足は、去年と違ってたくさん歩かせるとか、プールは、クラスごとに色の違う帽子をかぶらせるから、今年は青を用意しろ、とのこと(去年と色が違うので、ブーイングの声が保護者から上がった)、今年の聖ニコラのお祭りの日にちくらいしかわからない。うーーーん、今日、来ていない人も多いし、大事なことは、その都度連絡があるだろう、と思うことにする。

 時間を30分オーバーして会は終わった。密かに心配していた自己紹介し合うとか、親を交えてディスカッションなんてのはなかった。隣のクラスからは、最初の段階から、活発に親と教師が語り合っている雰囲気が伝わってきたから、それは担任の個性によるのだろう。しかし、その隣のクラスは、時間通り早く終わったのはなぜだろう? 分からないことが多いのはつらかったけど、家に帰って、お天気係や、シラブルの話をすると、子供が喜んで説明する。お天気は、先生が言ってくれるのを描き込むとか。やっぱり、シラブルは分かってなかった! 頭でカタカナに置き換えているから、子音だけの音でも、手を叩いてしまう。そうだ、先生は違うって言った、なんて話したりして、それはそれで楽しい。それだけでも行った甲斐はあったかな。ずいぶん、勉強っぽい感じになる印象を受けた。日本にいるのとは半年遅れだけど、ついに最終学年になったのだと感慨も深い。

 翌日は肩こりがひどくて、やっぱり緊張していたのだなあ。いつも使わない頭を使ったってことか。

2009年9月3日木曜日

新学期準備のこと

 年度末に、幼稚園から子供が以下の手紙を持ち帰ってきた。

保護者各位
 新しい年の始まりにあたり、以下のものを用意していただけたらと思います。

*蛍光ペン1パック
*パステル大箱(これは「PANDA」の銘柄指定)
*強力接着剤小さいチューブ1
*太字カラーサインペン2パック
*細字カラーサインペン2パック
*中太黒サインペン2本
*固形糊4本(これは「Pritt」の銘柄指定)
*ティッシュペーパー2箱
*お尻拭き2箱(これも「Kandoo」の銘柄指定)
*長袖のエプロン、お絵描きのとき用
*紙挟みとか用意するから10ユーロを封筒に入れたもの

 前もってご協力に感謝するとともに、みなさんのバカンスが、くつろげる、好天に恵まれたものになりますよう祈っています。 三年担任

 この文房具類は、本人が使う訳ではなく、クラスで使うものとして、いわば「上納」するもの。去年は、年度途中だったけど入って早々に渡されて、なんだか判らないものがいくつもあり、「この印付けたの判らなくて――なんですか?」「実物見せましょう、それが早い」でなんとかそろえたものが、今年は、判らないものは一個もなし! 一年経って私も成長したなあ(去年と同じものも多いから、ともいう)。夏休みに入ってすぐ、子供のスタージュ期間に、ちょっと下見してめどはつけてあったし、7月末までのバーゲンが終わって、8月に入ったとたんに、商店は「Back to school」で飾り付け。気分は盛り上がっていたのだが、結局、実際に買いに行ったのは、最終週の水曜日だった。
 子供も一緒だし、イベントとして、都心の大型文房具店に買い物に行こう〜! いぇーい! なんか、特別のときだけ、銀座の伊東屋に行く感じ? と盛り上げたのだが、これが失敗だった……。広い。しかも、地上三階、地下一階。こういうときに「準備品セット」なんて作ってくれるような親切なことはなく、それどころか、まとめておいてくれさえしないので、
*パステル大箱(これは「PANDA」の銘柄指定)
 →3階ファインアート売り場
*強力接着剤小さいチューブ1
*固形糊4本(これは「Pritt」の銘柄指定)
 →2階事務用品売り場
*長袖のエプロン、お絵描きのとき用
 →1階のほうのファインアート売り場(なぜ階を分ける? しかも内容もどういう分類か見ても判らない)
*蛍光ペン1パック
*太字カラーサインペン2パック
*細字カラーサインペン2パック
*中太黒サインペン2本
 →1階の「いわゆる文房具」売り場

 売り場案内にはジャンルしか書かれず、具体的な「糊」「ペン」なんてのは書かれてないので、何度か行ったり来たりして目星をつけて、「あと、これはどこに……」「それは1階よ」なんてことを繰り返して、疲れてしまった。しかも1階のペン売り場は広大で、銘柄指定のないこれらを決断するのは難しい。店員に聞こうとすると、この階はやはり迷える子羊たちが、リストを手に殺到していて、店員の前に群れをなしていた。

 見切って、ペン類は翌日、地元(といっても地下鉄ターミナルの大きめの店)に買いに行った。最初から「これとこれと……が欲しいんですが!」と店員にリストを渡す。最初の人は慣れてなくて「えっと、太字って書いてあるんですけど」とか言っているうちに、交代されてしまった。今度の人は慣れているらしく、ふむふむと集めてくれる。1フロアの店なのだけど、
*蛍光ペン1パック
→事務用文房具売り場
*太字カラーサインペン2パック
*細字カラーサインペン2パック
→子供用文房具売り場
*中太黒サインペン2本
→レジ横の万年筆等パーソナル文具売り場
に分かれていた。
 ほかにもやっぱりリストを渡して、店員と一緒に探す人が多い。そうするとレジ係が一人になってしまうし、時間もかかる。なにかもっと効率的にできるんではないか? と思うが、まあこのブリュッセルにいる間は「不便を楽しむスローライフ」を呪文のように唱えて生きていこう。食べ物関係だったら、けっこう楽しめているんだけどなあ……。

追記;そうそう、ペンは一袋、みたいな書き方だけど、色数まちまちにならないのかな? メーカーもBic、Steadler、Cohinorあと、Stabiroとかもあったし。そして、パステルは銘柄指定の上、大箱とわざわざ書いてあって、私が見たところでは12色と24色だったので、なんか、大規模? と思いつつ24色を買った。それなのに教室にあるのは、12色ばっかりなんだけど……。

イタリア旅行のこと4 ドイツ、プレモの街

 この旅、最後の目的地は「プレイモービル ファンパーク」。ニュルンベルクの郊外にある。旅の最後に予定しておいて、子供にも予告。旅行中、ちょっとでも良い子じゃなかったら、寄らずに帰る、と脅かし続け、子供は目を三角にしながら、良い子にしていた。プレイモービルのテーマパークらしい、と思って出かけたのだが、そこが面白いのだが、いわゆるテーマパークとか、アトラクションとか、遊園地とかではまったくなかった。むしろアスレチック公園に近いところだった。海賊シリーズ、農園シリーズといった、シリーズごとに建物や、遊び場が作られていて、なんとなくプレモ世界を体験できるようになっているところと、実際にプレモで遊べるところがある。
 門も騎士シリーズの門に模してあって、等身大プレモが両脇に立っている。子供はそれを見たときから大興奮。入り口で、再入場用に、手にプレモスタンプを捺してもらう。その横に、大量に迷子札が置いてあって、子供の名前と、親の携帯番号を記す欄があり、親はみんな書いて子供の手首に巻いてやっていた。うちは、夫が「目を離さなければいいんだよ」の一言でやらなかった。

 まず、屋外から――と行ってみる。まずは、水で遊ぶプレモゾーン。子供のお腹くらいの高さに、流し台というか水路が造られている。ポンプ式で水を流したり、せき止めたり、排水したりできるようになっていて、実際のプレイモービルの海上保安艇や、海賊船、海の生物等、水で遊べるものがごっちゃに流されていて、みんなで勝手に遊ぶ。下流?にたまっているところがあるので、拾って、すきなところへ持って行く。
 ここも、あとで行った屋内のところでも、常に係の人が何人かいて、入れ替えたり、直したりしてくれているので、意外に不潔感や、乱暴に扱われたわびしいおもちゃ感が出ない。子供はクジラに人を食べさせたりして遊んでいた。すでに服はびしょぬれ。
 次に農園シリーズゾーン。農家の建物が作ってあって、等身大の動物プレモが置いてある。牛の乳をひっぱると、水が出てきたり、馬にブラシ掛けをしたりできる。ここも井戸で水を汲んで、ばんばん水を使う。
 さらに、大きな砂場に出る。ここはもうプレモ色はまったくなく、そばに水場があって、みんな水を汲んできてはぬかるみを作る。うちのも、よその子供たちもおそろしくテンションが上がってくる。ここに至って、さすがに夫が車に水着と着替えをとりに行った。
 そもそも、ホームページで見たときに「水着は忘れないでね!」と書いてあったのだが、寒いしと持っていかなかったのだった。売店で服やパンツ、タオルくらい買えるだろう、と思っていたのだが、売店は、一カ所、出口にしかない。戻ってきた夫が、一回出ることになるので、チケットを通したり面倒だから、途中で買いに行かないのが賢明といって、余分に服を持ってくる。なんという商売っけのなさか。そのかわり、コインランドリーがあるのか、園内の案内表示に書いてあった。
 砂場の横は、水場。プールというよりは、川、池という感じで浅い。水着に着替えてここで遊んだところで引き上げて昼ご飯に行った。

  昼ご飯は、屋外のセルフレストランで食べた。子供メニューがあって、ソーセージとパン、みたいないかにもなセットに、果物かヨーグルトのデザート、そしてプレモの絵のついたコップで飲み物、プレモも一体ついてくる。子供は見るなり「プレモ付き、プレモ付き」と騒ぐので、それにして、大人もソーセージやハンバーグにフリッツがついたのと、ビール。ビールは南独によくある陶器マグを模したプラスチックマグに入ってくる。食器はプラスチックながら、プレモロゴが入っていて、Pfandという保証金?を食べ物を買うときに払い、食器を返すときに返金してもらうシステム。食べ物は安いのに、Pfandは高い。ちなみに、私の食べたハンバーグとフリッツ(小)とPfandが同額で5ユーロだった。プレモは、お姫様のがもらえた。私が、現実べったりのが好きで、都市生活シリーズと農園シリーズの一部しか買わず、ずっと欲しいのに買ってもらえなかった子供は大喜び。子供用のコップも持って帰って良いのだと言われて、ほくほくと持ち帰ってきた。

 食後は、とりあえず室内でプレモで遊べるところに入った。ガラス張りの大きな建物で、室内アスレチックと、巨大カフェと、遊び場がある。 それぞれのおもちゃのシリーズごとに、分かれていて、それぞれのイメージの建物がある。子供がはまったのはお城ゾーン。このあとも買う気はないから、たんとお遊び。ここは女の子ばかりなのだが、海賊ゾーン、騎士ゾーンは男の子しかいない。日本の男の子が、ちいさいうちにチャンバラ遊びや忍者遊びで、歴史への興味を芽生えさせるように、こっちでは騎士遊びがみんな好きらしい。おもちゃ屋さんにも、おもちゃの剣や盾も売っている。
 しばらく放っておくことにして、大人はそこが視野に入る席を取って、お茶を飲んだ。コーヒーマグが、外側はコーヒー豆や文字をあしらったデザインで、内側に同系の茶色でプレモロゴが描かれているのがかわいい。Pfandとってるんだから、そのまま持ち帰ってしまおうか、と夫と話したが、「売店で売ってるんじゃない?」「そーだよね!」と返してしまう。が、売店では再会できなかったのだった……。

 また、外に出る。プレモ色のまったくないアスレチック的滑り台がたくさんあり、ばんばん登って、ばんばん滑る。夫は心配してちゃんと毎回つきあってくたびれていた。私は下で見ていて、夫も放っておけば良いのに、と思うが、登るところおりるところが、それぞれ一つではないので、見失いやすいのは確か。園内放送は、保護された迷子の親の呼び出しで、切れ目がない状態だった。

 園全体の目玉と思われたのは、海賊ゾーン。大きな池に海賊船がしつらえてあって、そこへ縄の橋や、オールで漕ぐ筏、ロープを使って移動する筏で岸と行き来する。オールで漕ぐ筏はいくつも浮いているが、人気があって、とても乗れなかった。うちは西部劇ゾーンと、道路工事ゾーンはとばしたけど、男の子たちが、恐ろしい勢いではまっていた。子供も道路工事ゾーンは、かなり興味がありそうだった。てことか、ぐるぐる回すハンドルを使って石を移動させたりとか、そういう遊びもできる。が、出口直前、もうほんとうに疲れてきたので、パス。
 最後に、気に入ったところにもう一度行って良いよ、と話すと、子供は、農園シリーズの牛と、屋内の遊べるゾーンだと言う。その二つを流して出ることに。

 売店は、通販でしか買えないものが直接買えたり、もう、普通の店ではないような少し古いのがあったりするくらいで、ロゴだけ入れて服や雑貨を展開したりするようなことはしていなかった。ストイック。かなり、夫の忍耐力の限界に来ていて、駆け足で見たので、見つけられなかっただけかもしれないけれど……。でも、ここでしか買えないという海賊がいたので自分のために買ってきた。あとで開けてみたら、背にファンパークのロゴも入っている。さっそく子供に「貸して」遊ばれている。そして、カタログで見てずっと欲しかった通販でしか買えない公園セットと、新作の学校シリーズが買えて満足です。

 この日は、ここの街Zirndorfに泊まった。素敵にひなびた街だった。子供の着替えが乏しくなったから、と買いに出たのだが、ちょっとした街なら必ずある、大手チェーンのドラッグストアやスーパーもない。あとで気づいたのだけど、郊外に住宅街が広がっているので、そっちにはあったのかもしれない。ちょうどお祭りをやっていて、移動遊園地が来ていた。子供はまたさっそくメリーゴーラウンドをはしごしていた。
 メインストリートには宿屋や料理屋、パン屋と肉屋くらいしかない。17世紀の建物が多い。お祭りなので、料理屋には、地元の人が集まって騒いだり、素人バンドが来て演奏したりしていた。子供があわせて踊ったりしてうけていた。ホテルの隣の消防署でも、祭りの打ち上げをやって盛り上がっている。一つ坂を上がった裏通りに、教会と、ビール醸造所(それも17世紀からという)があるというのもなかなか風情だった。

 翌朝、一路ブリュッセルへ。長い旅も終わった。「今回の旅行、なにが一番楽しかった?」子供に聞くと、もちろん「プレモ!」「海よりも?」「うん!」大人はがっかりだけど、最後で記憶がリセットされているからだ、ということにしておこう。

2009年9月2日水曜日

イタリア旅行のこと3 アグリツーリズモ

 水曜日、アルベロベッロの宿をチェックアウトして、赤い大地白い家、灼熱のプーリア州に別れを告げた。その日は、ほとんど、移動の一日だが、宿から海が近いので、午後、そこに行く予定にしていた。
 お昼ご飯を食べる場所を探して、高速を降りTermoliという海岸に出た。イタリアの海岸は、とにかく、みんな狂ったように海に向かっているので、路駐可能なところは、どんどん埋まってしまい、車を置くのが大変なのに、ここでは、偶然、かなり海の際に置くところがあったので、つい寄ってしまった。
 もちろん、海をみれば「入る入る」という小僧がいるので、はい行きましょう、ちゃんと水着も持って行きましょう。今回は、砂浜がきれいにある海で、海の家もあり、そこでパラソルとベンチを借りた。お昼でおなかが空いていたはずなのにはしゃぎ回る子供の相手をしばらくして、いったん引き上げて海の家でお昼。うちは簡単にサンドイッチを買ってしまったけれど、みんなサラダを頼んでいて、野菜の山盛りに、オリーブオイルと酢が添えられてきていて、うーん、とても美味しそう。一方、サンドイッチはヨーロッパらしからぬへなへなした食パンで、海の帰りに茅ヶ崎のサンドーレで買って食べる――の雰囲気(マイナーすぎるたとえ)。それはそれで和みました。ここで、やっとスイカを切ってもらって食べる、にありつけて、夫と子供はわしわし食べる。なんか、ほんとーに「海の家」だなあ。
 夫が目星をつけておいた宿のそばの海に移動するかどうか聞いたけど、子供はもう、ここで遊ぶ気満々なので、今日の海はここ、と決めた。

 午後、適当なところで上がって宿へ。今日はアグリツーリズモを予約してある。海岸線を離れ、工業地を抜けて、山へ上がってくると、田園風景が広がっている。昨日までのプーリアと違って、木が増えてきた。事前に夫がプリントしてきたミシュランの地図――といっても、畑に道が走っている、目印なんてないものを見ながら、宿の建物にたどりつく。が、イタリア語しか判らないレストランの手伝いの人のみ、宿のマダムはいないという。電話で呼んでくれるというのを待ってみるが、まったく来ない。ずいぶん待って、また電話がかかってきた。なんのことはない、大きな敷地内にふたつ建物があって、私たちのたどり着いた方は長期滞在用のアパートホテル、予約されていたのはもう一つのホテルで、マダムはずっとそっちで待っていたらしい。それがやっと判ったので、レストランの女性が自分の車で案内してくれてホテルへ。ところが、そっちにもマダムはいない。場所の誤解が判って、彼女は彼女で迎えに出てしまったのだ。車ですれ違わなかったから別のルートがあるのだろう。ほんとうに広い敷地だった。翌朝判ったことだが、オーナーの家もまた、別の離れたところにあった。
 果樹がぽつぽつと植えられた庭に出てぼーっとしていると、眼に見えるのは、広がる斜面にぶどう畑と、牧草地。イトトンボが飛んでいたり、のどかな風景だ。
 この宿には、大きな犬が白いのと、シェパードと二匹、さらに、小さいのがいた。この小さいのを子供が珍しく気に入って、ずっとあとを追いかけ回していた。子供の頃、家で飼っていた雑種に似ていて懐かしく見ていると、かなへびを捕まえて食べしまった。それに気づいた子供が「こっちこっち」「かなへびだよ〜」と声や足音を立てて逃がしてしまったり、しっぽを引っ張ったりして、けっこう良い迷惑だったようだが、宿の犬で人慣れしているらしく、適当にあしらわれていた。
 夜は、麓の街に降りて、魚介をわしわしと食べた。海辺に公園が作ってあって、21時すぎ、暗くなってから子供が出てきて遊んでいて、うちのも一緒に遊んでいた。ここまでの街でも、夜にどこからか?と思うくらい大量に湧いて出てきて遊んでいるのを見た。たしかに日が落ちないと暑いものなあ。

 木曜日はアッシジに行った。この日も暑く、観光地で人が多かったので疲れきってしまった。でも、このフランチェスコ教会は、この旅初のステンドグラスのある教会で、子供は喜んだ。この夏あたりから、ステンドグラスのきれいさに目覚めたのだけど、この旅では、ここまで、ずっとビザンチンとかモザイクとかそんなのばかりで怒っていたのだ。続いてサンジミニャーノ。母親が、前に行ったことがあって、感動したと聞いていたのだが、とにかく暑い。子供も歩かなくなってくるし、移動が多くて、三人、無口になる。早々にひきあげてきた。

 この日の宿は、また、郊外にアグリツーリズモを予約してあった。またも、敷地の中に入ってからが長い。糸杉がたくさん生えている絵に描いたような田園風景。
 宿にプールがあったので、子供を遊ばせていたら、プールサイドでくつろいでいた大人がつぎつぎ帰って行ってしまったので、とても申し訳ない気持ちになった――一応、日が当たらなくなる時間帯に入ってきたため、もあると思うけれど――が、その後、子供と同じくらいの歳の女の子と、2歳くらいの男の子を連れた一家がやってきて、うちよりも大騒ぎになった。女の子は、ぼんぼんとプールサイドから投げ入れられて、はしゃいでいる。
 歓声を聞いてみると、フランス語なので、子供に「フランス語だから、話が出来るよ!」と教える。その女の子とは、気が合うことがわかり、プールから上がったあとも、庭で一緒に遊んでいた。
 
 夜ご飯を宿で食べることにしていたら、席がその一家と隣り合わせ。そちらの母親が「フランス語が出来るのですか?」と聞いてきたので、「ブリュッセルに住んでいるのです」と答えると、「あら、私たちもベルギー人なのよ!」。このあたりで、もうフランス語ではついて行けなくなり、父親に英語で訳してもらいつつ、会話を続けた。
 彼女はイタリア人(といっても、住んでいる場所から夫の推理では、戦後間もなく移住してきた人の二世とか三世とかではないかとのこと)、 ご主人はフランス語系ベルギー人で結婚前までは、今、私たちの住んでいる区に住んでいたと言う。世界は(ヨーロッパは?)狭い。
 子供たちは早々に食べ終わってしまい、飽きるとうるさいからと、母親が、さっとDVDプレイヤーを出してきて、うちのも一緒にディズニーアニメを見ていた。子供がいると必須だよ、と彼らは言う。大人たちはのんびり酒(デザートに甘いワインが出た)を飲んだりできたのでまたそれも良し。

 ご飯後、外に出てみたら、まさに「満天の星」で、天の川も見えた。星座がくっきり、蠍座のアンタレスがちゃんと赤く見えるくらいで、興奮してあれこれ星座を探す。もうだいぶ忘れただろうと思っていたけど、カシオペアや、北斗七星もわかって楽しかった。文字にすると、レベルが低いけれど……。高校時代、私と夫は地学部というものに入っていた。名前はそんなだけど、星の観測会がメジャーな活動(私はそれにしか行かなかった。美術部と掛け持ちでもあったし)だったのだ。高校二年のときに合宿もあったのだが、尾根の反対側に日航機が堕ちて、毎年報道されるたびに「ああ、あの合宿から**年経ったのだなあ」と思い出す。

 翌朝も快晴、おいしい朝ご飯を食べ過ぎる。何種類か出してくれたジャム、英語で説明してくれたのだけど、一つ、聞き落としたものが美味しく、「なんだろう?メロン?」「ちょっと栗っぽさもあるよね」などと話していたら、カボチャのジャムだった。日本の感覚より少し若いのか、瓜っぽい風味もあるジャムだった。
 この宿にもたくさんかなへびがいて、子供が「かなへびたんけん!」と騒いで追いかける。どれもこれも脚が速くて捕まりやしない。夫がやっと一匹捕まえたが、あろうことかしっぽをつまんだので、しっぽを切って逃げてしまった。でも、子供が「かなへびはしっぽをきる」を学べたのでまあ良かったのかも。

 チェックアウトのときに、夜ご飯で飲んだ自家製ワインも買って、この宿は出た。昼ご飯をモデナで食べて、イタリアもおしまい。一路ドイツへ向かう。ドイツでは夫が最初に留学した街、Murnauに泊まる。この日は渋滞もあって時間がかかり、やっと19時くらいに宿に着いた。この街は、夫が土地勘があるので、何度か来ている。宿自体、もう三度目か四度目になると思うホテル。夜ご飯も宿のレストランで。久しぶりに、ドイツのWeizenbierをがぶがぶと飲む。慣れた街で、メイン通りに出てアイスなんかかってぶらぶらしたりして無事帰ってきた、という気持ちになるけれど、まだ旅は続く。