2009年8月28日金曜日

イタリア旅行のこと2 海と白い街

 今回のプーリア旅行は、雑誌『旅』のプーリア特集号を参考にした旅行。これは確か、去年日本を発つときに、丸の内OAZOの丸善だったか神楽坂の文悠で私が『よつばと!』8を買ったときだったか、どちらにしても出発前夜に買ったものだったと思う。一年熟成させて、満を持して旅立ったのだ(おおげさだけど)。イタリアもプーリア州まで行くと、景色が、これまで見たヨーロッパ各地とはちょっと変わっていた。高山で森林限界という言葉があるけれど、暑くて、乾燥してなのか、樹がちゃんと生えられない感じ。オリーブの木が、小さく細々と生えている。全体的に赤茶けた土地。でも、果物は名産だそうだ。過酷な土地くらいの方が、果物は良いのかもしれない。自他ともに認める暑さが苦手な私が、なぜ、涼しいブリュッセルを出て、こんなところにいるのか、と疑問に感じるくらい、連日35℃超、一日は40度を超えていた。乾燥も強く「灼熱」という言葉を実感できた。

 そんなちょっと変わった景色の中、トゥルッリという石造りのとんがり屋根の建物が並ぶアルベロベッロという街に三泊して、いろいろなところを回ってきた。この街は池田あきこ氏『ダヤンのスケッチ紀行 イタリアへ行こう』で初めて知った不思議な街。宿も、トゥルッリを予約した。なかは普通の家みたいな感じで、とんがり屋根部分にロフトを作って、そこにもベッドを置いてある、2ベッドルーム。子供は、ハイジの屋根裏部屋! と気に入って、ちょっと登りにくいはしごを何度も上り下りしたり。台所もあって、鍋釜、食器も借りられたけど、外に安くてうまい店がたくさんあるので、けっきょく、一回も料理なんかしなかった。

 今回の旅は、食い倒れ飲み倒れももちろんだけど、子供を海に連れて行くのも目的。オートラントという海岸の街に行ったときは、お昼ご飯が目的だったので、水着を持って行かなかったのが、海を見せたら、当然入りたがり、また、ちょうど岩でかこった水たまりがあって、小さい子供がたくさん遊んでいたので、水につけてしまった。パンツいっちょで遊ばせたけれど、結局、そんな配慮もむなしく全身びしょぬれになってしまったので、引き上げて、お昼ご飯前に、店に飛び込んで水着を買う。選択肢がなく、ピンクのひもビキニ。もろ三角形! その後、いろいろ観察してみると、イタリアの海はどんな体型でもビキニが基本。しかも布面積かなり狭い。私の、子供をプールに連れて行くためにスポーツショップで買った黒のワンピース(しかもアディダスロゴ入り)は完全にドレスコードを間違えていた。
 さて、お昼ご飯は三人でパスタ各1(これも雑誌に出ていた店)。ところで、私もパスタを頼んだつもりだったが、来たものは古代米とじゃがいもを重ねてセルクルで抜いて、魚介のトマトラグーをかけたもの。とても美味しく、この旅一番の味だった。なのだが、私が頼んだものはリコッタとか、ズッキーニソースとか書いてあったから、きっと間違えている。その後、メニューも写真に撮ってきたのだが、この料理の名前は判らなかった……。幻のメニュー。お店のおじさんがぐちゃぐちゃ混ぜて食べろ!と言う。混ぜて食べてみるが、途中で見に来て「それはもっとぐちゃぐちゃに!」と言っていた。
 この街は、床にモザイクのある大聖堂があるのだが、昼休みで入れなかった。

 その後、海岸線を走って、海水浴場に行った。16世紀の遺跡の門のある海=Torre Del Orso。直訳すると熊の塔、という意味らしい。ここも遠浅の海で、子供は浮き輪で堪能。カップルが多く「こういうカップルがいるのがほんとうの海! って感じがするよね」と夫は言う。そうか……私の海の記憶って、小学校低学年の地元の遊泳禁止区域どまりなのかも。その後、国道一本挟んですぐ海の中学校に通っていたのだが、そのころには、ありがたみもなく、さらにはなんとなく不良のイメージがあって海からは離れてしまっていた。

 翌火曜日は、朝市の立つ街Carovignoを調べてあって、出かけて行った。夫はスイカの切ったのを買って食べるつもりだったのだけど、丸ごとしか売ってなくてちょっとがっかり。1個1.2ユーロだから! とか言われてもな……。プーリア州の名産ということで、ブドウを買って食べる。ブリュッセルにも入ってくるけど、とても新鮮で安くて、子供がまた、ノンストップ状態になってしまった。
 この市には、かき氷屋が出ていた。四角い巨大な氷とシロップの瓶を台に乗せていて、注文が入ると、氷を、金属の掌に入るくらいの箱鉋で削って、プラコップに入れてくれ、シロップをかけてくれる。夫と子供がかわりばんこに食べていた。

 お昼ご飯を食べようと、『旅』に美食の街として出ていたCeglie Messapicaに行った。目当てにしていたレストランが定休日だったのだが、すてきに真っ白な街で、旧市街は、車も入らないので、三人でさまよいながら歩いていた。家も真っ白に塗られているし、道路も白い石で舗装されていてつるつる滑る。建物やら道路やらは、すごく日本と違うのに、洗濯物がぶら下げてあったり、路地にごちゃごちゃと植木鉢を出していたり。しかも、玄関は開けっ放しにして、ビニールのすだれで目隠しにしてある。ちょうどお昼時分、TVを見ながら、食器をがちゃがちゃ言わせたり、子供が騒いでいたり、大人がそれをしかる怒鳴り声が聞こえたりと、すごく「日本の下町の夏」なのだった。
 そういえば、アルベロベッロも、変な建物の街だけど、やっぱりビニールのすだれだけで玄関は明けっ放しにして、夕方になると、おばあさんやらが、椅子を家の外に出して夕涼みしていて、それもまた、日本の下町情緒だった。

 こんなふうに、珍しい初体験にどきどきするのではなく、自分の記憶にある何かと結びつけて懐かしい気持ちをかき立てられることを楽しむようになったのは老化かな? と思わなくはないけど。

 けっきょく、お昼ご飯は、一軒だけ開いていた(しかも、外からは判らない感じで)レストランで食べた。もう一組しかいなかった客も、厨房にずかずか入って行ったり、注文しないのに、どんどん料理が出てきたり、身内っぽい感じ。彼らは、お金を払って出て行ったので、いちおう客なのだと思うけど、
 その後、若い親子二組とおばあさんがやってきたら、どうもそのおばあさんが、レストランの給仕をしてる人の奥さんという一家らしく、みんなで席に陣取って、やかましくお昼ご飯を食べ始め、給仕も、厨房の人たちも混ざって食べ始めてしまった。小さな女の子が二人いて、うちの子供のことが気になるらしく、ちょっかい出しになんども来た。その子たちは、トイレに入ってトイレットペーパーを引っ張りだしてしまったり、まったく落ち着いていなくて、大人は、しょっちゅう立ち上がって怒ったり、捕まえたり、またそれも大騒ぎになるのだった。

 このあと、また白い街だけど、観光地になってる感じのところLocorotondoに出かけた。バルコニーに花を飾ることを奨励しているらしく、観光客に人気投票もさせていた。壁の白と対比させたきれいな色で窓や扉を塗っていて、とても素敵な街だったが、やはり、私に訴えてくる魅力は、あの雑然としたCeglie Messapicaが上かな。

 この日は、日中は40℃を超えてしまい、あとで夜のニュースで「猛暑日!」みたいな取り上げられ方をしていたのを見て、びっくりした。そうか、子供が機嫌が悪かったのはそれだったのか……。宿に帰って冷房の効いた部屋に入ったら、いきなり元気になったものなあ。

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