2009年7月7日火曜日

おもちゃ博物館のこと

 7月1日から2ヶ月にわたってながいながい学校の夏休み。火事というアクシデントに見舞われ、一日前倒しで始まってしまった。おりしも、30℃超えの日々が続き、暑さが苦手の私はばてばてである。子供は暑さにも負けず、公園に連れて行けば、遊び回るし、日頃より汗をかくせいか、水分を良くとるようになるくらいで、元気いっぱい。ここはなにか目先を変えた企画を入れようとしていて、ニュースサイトで「プレモ35周年を記念しておもちゃ博物館で展覧会」を見つけた。

 いつも、ベルギーのニュースは、フランドル地方系のテレビ局のサイトのフランス語のページのニュース動画(文字原稿もついているのでわかりやすい)を見ているのだが、社会経済ネタはまったくわからず、これまで見たものといえば、「マグリット美術館開館」「自然科学博物館でダーウィン展」といった文化系、「大手スーパーのデレーズ、仕入れ価格の折り合いがつかず、以下の商品の取り扱いをやめる」「ヴェリタ(大手手芸用品店チェーン)が今度の新規開店で、**店舗に」――といったお店情報、「保育園で殺人事件が」――の三面記事的なもの(あまりない)、「未明に嵐、3万発以上の雷」――の気象系、「フランドル地方の学生は恋愛に保守的」「フランドル地方の学生の外国旅行経験数は、ヨーロッパ最下位」――自虐系?くらいしかなかった。

 そんなニュースサイトも見ていて良かった! やっと有効な情報が! この博物館は、隣町のメッヘレンにあり、電車に乗れば20分、確か、電車に乗っていて、建物を見たこともあるくらいで駅に面しているはず、とサイトを検索、ドイツ語のページもあって便利便利。地図も見て、駅に隣接していることを確認。
 金曜日、お弁当を作り、出勤の夫に、地下鉄の駅で落としてもらって出発! 中央駅でチケットを買って、巨大時刻表(ヨーロッパのはどこもそうだとおもうが、出発時刻と電車番号の入った枠が左側に、右側にその電車のその後の停車駅とその時刻を全ていれた表が貼り出されている)を見ると、すぐメッヘレンに止まる電車がくることが分かったので、走って行って飛び乗った。20分くらいの電車旅は快適で、子供も機嫌良く、さあ、メッヘレンについた、と降りてみると――
 おもちゃ博物館が発見できない。

 当たり前なのだが、オランダ語圏の街なので、表示が全てオランダ語になっている。はっと気づくと、昨日は、ドイツ語のサイトがあるので嬉しくてそっちを見ていて、オランダ語で「おもちゃ博物館」をなんと言うのかすら知らない。愕然としつつ、とりあえず開けた方に出てみる。そして、地図に出ていたあたりを見てみるが、よく分からない。バスロータリーにあった近辺地図を見てみるが、全部オランダ語でまったく分からない。パニックしてくると、英語でおもちゃをなんていうかすら分からなくなってきた。ドイツ語がSpielzeugだから、直訳するとPlaying tool?いや、そんなこと言わないよ!(ずいぶんあとになって、家に帰ってから思い出しました。Toyですね?)
 おなかが空いて機嫌が悪くなり始めた子供の手を引いて、駅に戻って、売店のおばちゃんに「Where is Spielzeugmuseum」と強引にドイツ語まじり英語で話しかけてみる。すると、「Spielzeugmuseum!」と反応してくれるが、「知らない」という身振りで、オランダ語で返事が返ってくる。そばにいた、となりの店のおじさんにも、聞いてくれるが、そのおじさんも「知らない」とのこと。
 また、駅の外に出てバスロータリーまで戻ると、バス会社の人らしき女性がいたので、また聞いてみる。と彼女は、かなりイントネーションはなまった感じながら、英語で返事をしてくれる。
「それは、まず、駅に戻ってねくすぽーに止まる電車を探し、乗ります」
 ねくすぽーだけ分からない。見当をつけて「ねくすぽー? Next station?」
「そうそう。Next station。そこからは、すぐだし、大きい建物なので、すぐ見つかるはず。駅の反対側になりますよ」「電車に乗らないと、行かれませんか?」「行かれるけど、その場合には、この道をまっすぐ行って川を渡っていきます」「どのくらいかかりますか」「15分かかります。電車なら2分ですよ」「分かりました、電車にします。で、そのNext stationの名前は何ですか?」「だからねくすぽーです」
 恥ずかしいことに、そのねくすぽーは固有名詞だったのだった。何度も発音してもらって、駅に戻る。こういうときにはとてもありがたい全停車駅網羅の巨大時刻表を見る(しかし、日本だと、こういうときどうやってその駅に止まる電車を探すのだろう? 日本は、**線という呼称を徹底することで便宜としているのだろうか)。その駅の名前は「Nekkerspoel」だった……。10分空きができたので、ホームでお弁当の前半を食べる。そして、ほんとうに2分ほどの旅で、また降りる。言われた通り、駅の反対側に出る。が、めちゃくちゃさびれていて、そんな大きな建物なんてない。うーん、これは私の英語力の問題かな? と開けている方に戻る。が、そこにも見つからない。
 そこに至って、しょうがないので夫に電話、おもちゃ博物館のサイトを見てもらい、最寄り駅が、このNekkerspoelであることを確認、住所を読み上げてもらう。果たして、それは駅のさびれた側だった。一度でも疑ったことを先ほどの親切な女性に心で詫びつつ、言ってみると、入り口が地味なので、駅から見て分かりにくいが、線路に面したところにあった!

 まず、1階の常設をさらっと流してから、同じ1階のカフェでお弁当を食べて良いか聞くと「もちろん! 飲み物が欲しかったら買いにきてね」と力強く言ってくれるので、プレイモービルで作ったパノラマの飾られた窓際の席で食べる。そのカフェに隣接して乗り物などの遊具ゾーンがあるので、子供は食べ終わるや否や、走って行ってしまう。私もコーヒーを買って飲みながらぼーっと眺めていた。
 そのカフェも遊び場も、天井が低く、照明も、暗めのしかも古いタイプの灰色っぽい光の蛍光灯で、なんだか、うらさびしい気持ちになってくる。昔、子供の頃に行った、ディスカウントストアの屋上の室内遊戯場のような雰囲気である。気づけば机も会議机の用な、木目プリントの合板だし、濃い青のカーペットもなんとなくそんな雰囲気を助長している。
 展示室も物悲しい雰囲気があったけど、でも、それはおもちゃは遊ばれなくなって展示されてしまうと、もう命を失うものだからかもしれない。

 少し遊んだところで、呼び戻して、プレイモービル展に行く。等身大プレイモービルが迎えてくれる展示会場で、子供は興奮して走って行ってしまう。
 鉄道/市民生活/西部劇……と各テーマに分けられた展示スペースに、新旧のプレイモービルを混ぜて展示してある。足下に置かれた製作年度を見ると、微妙に形の滑らかさ、色の鮮やかさに変遷があるのが感じられる。私は80年代くらいの形や色が好きみたいだ。子供はいくつか置かれた遊べるスペースではまり込んでしまった。大人の目で見ると、初期の設計図(手のRの径をどのくらいにするかなど事細かに書かれている)や、竜のフィギュアが完成するまでのイメージ図→設計図→粘土で作ったモデル→実際の材料でのプロトタイプ→実際の商品が分かりやすく並べてある――などの資料的な展示が面白かったが、子供にとっては、やはり遊べることに価値があるのだろう。
 最後に売店で、子供は妖精の格好をした女性のを買いたいというので、私も、自分に35周年記念パッケージに入った騎士のを買った。

 駅に戻ってホームで電車を待ちながらふと見ると、ホームからおもちゃ博物館の背中がわが見え、大きくSpeelgoedmuseumという文字と、サイトでも何度も見ていた輪回しをして遊ぶ女の子のロゴが書かれているのを発見! そうだ、電車に乗っていて見たことあるって思ってたんだった。さきほど、駅から見えるなんて嘘じゃん! と思ってしまったことを、またまた先刻の親切な女性に心で詫びたのだった。

0 件のコメント: