2009年6月19日金曜日

DVDのこと

 ブリュッセル暮らしで、大人はともかく、子供は日本文化?から離れてはつらいだろうと、DVDをいくつか持ってくることにした。これまで買っていた、教育テレビの『にほんごであそぼ』のシリーズに加え、私は、やっぱり日本人の一般教養、宮崎アニメでしょう! と『となりのトトロ』、夫が劇場版の『アルプスの少女ハイジ』を買った。逆にこれを機に、大好きだった『きかんしゃトーマス』シリーズとはお別れすることに。

 が、子供は、『トトロ』は怖いと言う。最初のまっくろくろすけのあたりでイヤそうな顔になり、メイがトトロに最初に出会うシーンで、泣き出してしまう。しょうがないので、しばらく封印していた。その後、劇場版の『アルプスの少女ハイジ』は楽しく見ていたのだが(夫が、自分の選択が正しかったことを威張ったことは言うまでもない)、私の記憶にある名シーン(ハイジが夢遊病になるシーンや、クララの車いすを壊すシーン、そしてヨーゼフがカタツムリを食べるシーン!)がないので、物足りなくなり、フランス語版でボックス買いしてきた。
 が、長くなったせいか、ディスクでいうと7枚目、ロッテンマイヤーさんが怖いと言って、どうしてもまた見られなくなってしまう。夫が出張でフランクフルトに行くときに「ロッテンマイヤーさんに会ってくる」と言うだけで泣き出したりするくらいだった。
 感受性が強いってことで、いいんじゃない? などと言っていたが、その後、『にほんごであそぼ』や、こっちで見られる日本語放送での『おかあさんといっしょ』ばかり見ている子供を見ると、物語を感じる力が育たないんじゃ? と、にわかに心配になって、強引に見せて、また泣かれたり。

 ある日、5歳の誕生日を前に、『トトロ』は克服できた。一度、見てしまうと面白いらしく、毎日見ていた(それはそれでどうなのか)。そして、4月の一時帰国でキャラクターを知っているからと買ってきた『ピーターラビット』のシリーズと『おばけのラーバン』も、最初は怖いと言いつつ、なんとか克服して見ている(日本文化――からはだいぶ離れてきてしまった気もするが)。
「ピーターラビットのおはなし」はマクレガーさんが捕まえにくるところが本当に怖かったらしい。確かに、ピーターの側の視点で描かれた画面で、マクレガーさんが多いかぶさってくるように大きく描かれる。彼女が「マクレガーさんとピーターラビットの絵」を描いたことがあるが、マクレガーさんは歯を剥き出した怪獣のようになっていて、こう見えているのなら本当に怖いのだろう。一方、物語の怖さでは上と、大人は思う「フロプシーのこどもたち」は、画面が、マクレガーさんの背後にカメラがある状態(もちろんアニメだが)で描かれているので、それは怖くないらしい。

 新たなソフトを求めて先日の水曜日、区のメディアテークに行ってきた。子供向けDVDもたくさんあり、アニメは日本のものも多い。公立のくせに、登録料や貸出料がかかって、愕然とする。まあ、街中のレンタルより子供物は豊富だから良しとしよう……それに貸出料も子供物、音楽ものを借りている分には安いような(あまり納得していない)。

『魔笛』
 この前、夫のウィーン出張土産で『魔笛』のイラストのTシャツを買ってきてもらい、夫とお揃いが嬉しいのか、気に入っているので、YouTubeでアリアの画像だけは見ていた。借りてきたDVDはチューリヒ歌劇場のもので、演出/舞台とも現代的。パパゲーノも普通の格好で出てくる。
「この人誰?」
「パパゲーノだよ、お前のTシャツに付いてる人」
「おー、ぱ、ぱ、ぱの歌の人な?」
「そうそう」
「この人、なんで網に入っているの? 悪いことして入れられたの?」
「うーん、これは網じゃなくて……(これは鳥籠を表していて、鳥人間かつ鳥刺しのパパゲーノをイメージ的に表しているとか言えたらどんなに楽なことか……)」
「あ! ドアがあって出てきたよ! 閉じ込められた訳じゃなかったんだね!」
(えっ? 納得したの?)

「この黒い人、なにしてるの?」
「うーん、このお姫様が好きなんだけど、お姫様のほうは、さっきの王子様が好きじゃん? だから、この黒い人は嫌なんだよ(襲われるシーンだと説明できたら一言ですむんだが……)」
「あああ……、で、この人誰?」
「夜の女王」
「夜のジョン?」
「そうじゃなくて、じょ−お−う、じょおう、な?」
「あーーーー、顔は怖いけど、優しいな! お姫様助けてくれたよ」

 このシーンは、よほど印象的だったのか、あとで夫に向かって説明し、夫は、話がよく分かっていると感動していた。私の努力の賜物であろう。

『カリオストロの城』
 宮崎アニメを物色していたら、これが一番良いというので借りてきた。日本語版もあるので、嬉しい。この日本人なら常識と思われるアニメを、あろうことか夫も見ていないというので、週末に三人で視聴。その前に、フランス語の勉強として、フランス語で見てみたが、コロンボより分かりにくかった。台詞に飛躍があるからか?
「あ! この人、クララ! クララだよね!」
「違います。それはクラリスです」
「ふーん、でも部屋はクララの部屋にすんでるんだね」
「え? それは違うんじゃ?」
「?」
 娘は、フランス語版の『ハチクロ』の真山を見て、『3月のライオン』の零くんだ、と言った人である。

「この人誰?」
「銭形」
「この人たちは?」
「警察の人たち」
「銭形は、警察か、ルパンか、どっちの仲間?」
「うーーーーーん、難しい問題だねえ……銭形は、いつもはルパンを捕まえようとしているんだけど、この話だと、ルパンの仲間?」
「ルパン、泥棒さんなのに?」
「うん」
「この人、警察でしょ?」
「うーーーーーん」

「この人、だれ?」
「一応、クラリスにとってロッテンマイヤーさんみたいな役なんだけど、本当は峰不二子」
「ふーん、何探してるのかな、クラリス?」
「いや、ここで探しているのは偽札」
「偽札?」
「偽物のお金だよ」
「お金? 偽物なのに探すの?」
「うーーーん、偽物だけど、使えるんだな」
「偽物だけど使えるお金????」
「………………」

『長くつ下のピッピ』
 衛星放送のドイツ語幼児番組でときどき見ていて、怖くないことは実証済み。1969年のスウェーデン/ドイツ共同制作の連続ドラマ。ファッションがかわいく、画面もきれいなので、大人も見ていて楽しい。ところで、フランス語だとピッピはFifiになる。なぜだろう? Pippiだと幼児語のおしっこと同じ音になるからだとは思うが、それならドイツも同じなのに、そっちはそのまま。
 これは、さすがにフランス語でも子供も聞き取れる単語も多く、話も簡単なので、質問してこない。が、いちいち、うるさい。
「ピッピ、力持ちだな! サンタクロースみたい」
「これ、泥棒でしょ? ピッピの家に入ってくるよ!」
「ムッシュ・デュポンだ! ほらほら、見て、あそこにいるよ!」
 などなどなど、実況中継のようにひたすらしゃべり続ける。同じ画面を見てるから分かるって!
 結局、ピッピのシリーズは、このあと、ボックスで買ってしまった。レンタル料は高いのに、買うと安いし、子供が触りたがるので、借りてくるとヒヤヒヤするし、お試しだと思えばまあ良いか。1話30分なので、切って見せやすいし、毎日、少しずつ見ている。
 中に一つ、大人のお茶会をめちゃくちゃにしたピッピが、落ち込んで一人、家に帰る物語があり、それは怖い?のだと言って嫌がっている。もうピッピの破天荒さを、手放しで喜べない歳になった私としては、そういう話が入っていると、むしろほっとするのだが。

 しかし、娘が、私がDVDを割に簡単に与えているのは、一人で見て、おとなしくしていてほしいからだと理解してくれるのはいつになるのだろうか?

2 件のコメント:

Asako さんのコメント...

子供に「魔笛」をみせようと思いついたこともなかった!そっか、それで楽しめるなんて!(私も楽しめないかもしれないのだが。)

日本人は宮崎駿なのですな。たしかに、そうなのかもね。私は自分がアニメが好きになれないので、自分から見せたことないけど、そろそろ「トトロ」いってみようかな。

Amsel さんのコメント...

魔笛、やはり劇場ものは難しいし、キャッチーじゃないしで、すごく質問攻めになりますよ〜。YouTubeに、イタリアの絵本作家さんの絵をアニメにしたのがあって、それが面白いです。パパゲーノのアリアは、子供は、それで見て喜んでました。全幕ないかなとか、DVDになってないかなとか探してるんだけど、いまのところ発見できずです。

宮崎アニメ、私も実は、『もののけ姫』で止まってしまってます。このあと、『魔女の宅急便』を見ました。

ではではまた。