2009年6月30日火曜日

Donikklのこと

 Oberkirchという街の子供向け祭りに、Donikklの野外コンサートがあるのを夫が見つけてきて、それを目的にドイツに行ってきた。Donikkl、それはドイツの子供向けバンド(正確にはそのヴォーカルの名前)。

 最初の出会いは、アーヘンのカルナヴァルのパレードを待っていた時だった。はやりの曲をずっと流していて、はやりといっても、新旧ごちゃまぜ、10年も前のはずの、前にドイツにいた頃の曲もたくさん聞こえてきた。
 ドイツには未だに「国民的流行歌」みたいなものが存在して、それがかかると、リフレインの部分は振り付き大合唱になる。振りと言っても手を大きく振るとか、叩くとか、そういう単純なもの。前回のドイツ時代では、たとえば『Anton aus Tirol』『Wahnsinn』『Die Haende zum Himmel』などがそうだった。私たちは、けっこうその能天気さが気に入ってSki Hitsなんて銘打たれたオムニバスCDをいくつか買って、聞いたりしていた。
 漫画『とめはねっ!』に、30代後半から40代前半の女性は、みんなピンクレディの曲は歌えて踊れるというような台詞があるが、私も、踊れないまでも、歌詞は覚えているし、漠然と振りは覚えている。今は、こんな曲ってないように思う。当時は、こんなふうにみんなが知っている曲、好きな曲というものになじめなかったのに、でも、私も確実にそういう時代のしっぽを引きずっている。

『Anton aus Tirol』はさすがに廃れたのか、かからなかったが、ほかの曲はかかったりして、みんなが歌ったり踊ったりしているのを見て懐かしい気持ちになった。
 そんな中、私たちはまったく知らないのに、やけにみんなが反応して同じ振りを付ける曲があった。歌詞も単純だし、ずっとリフレインするので覚えてしまう。家に帰ってから、記憶した歌詞を打ち込んで検索すると、『So ein schöner Tag(Fliegerlied)』という歌だと分かる。また、今年のカルナヴァルシーズンに、ケルンの歌手がカバーしたことで火がついたが、もとはDonikklの作った歌だということもわかる。例によってYouTubeで画像を見ると、声も振りもDonikklの方が楽しく、子供もすっかり気に入ってしまった。その後、ドイツに行ったときに、この曲の入ったベストアルバムまで買ってしまう始末。

 歌詞は単純で、

 草に寝そべって、空を見ていたら雲が浮かんでとても楽しそう
 飛行機が飛んできたから声をかけたよ。「やあ、飛行機さん!」
 君がそばにいるから、とても楽しい。
※リフレイン※
 僕は飛ぶよ、飛ぶよ、飛ぶよ、飛行機のように。
 強い、強い、強い、虎のように
 大きい、大きい、大きい、キリンのように
 そして跳ねるよ、跳ねるよ、跳ねるよいつも
 泳ぐよ、泳ぐよ、泳ぐよ、君に向かって
 手をつなごう、つなごう、つなごう、君と。
 だって、君が好きだから。

 今日はよい天気だね、ららららら~×3
※リフレイン※

 このリフレインのときに、飛行機/強い/大きい/跳ねる/泳ぐ/手をつなぐの振りを付けて踊る。繰り返すごとに、どんどん速くなるのも、またこういう「国民的流行歌」のお約束。

 Oberkirchのお祭りは、本当に商店街のお祭りのようだった。天気が悪いこともあって、なんとなく寂しいような、しみじみした楽しさがあるような。70以上のアトラクション、というが、それぞれのお店や、スポーツクラブ、趣味のサークルなどが机を出して、簡単なインストラクションをしたり、ミニSLを走らせていたり、空気で膨らむ滑り台で遊べたり――だった。ピエロが風船を配ったり。子供は、ミニSLの先頭の機関車に、順番を待ってまでわざわざ乗って、滑り台をそりで降りてと楽しんだ。
 そして、Donikkl。その頃には、ちゃんと雨も上がって、親子連れがたくさん集ってきた。子供たちは、舞台に貼付くようにしているし、少し下がったところに作られた長椅子の席で、大人たちはビールを飲んだり、踊っているうちに、グラスを倒して割って騒ぎになったり。
 うちの子供もさすがに知っている曲がたくさんあるので、喜んで踊ったりしていた。でも、曲ごとに、最初にリフレインのところの振りの解説が入ったり、いろいろ話して笑わせたりすると、集中力が落ちてしまう。ドイツの子供たちは、それがあることで、集中するのだと思うけれど。また、反対語の歌「高い/低い、まっすぐ/ななめ、速い/遅い」や、靴下の右と左がそれぞれのキャラクタになっている「ポールとルイーザ」なんていうのは、今のフランス語程度にドイツ語がわかれば、もっと楽しめるのに、と思ったり。でも、それは欲張りというもの。十分、子供だって面白がっていたし、ドイツの小さな街の雰囲気が味わえた一日だった。

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