2009年6月25日木曜日

鍵のこと

 水曜日、夫と二人で娘を幼稚園へ送り届け、そのまま私はマルシェへ、夫は仕事へ。マルシェで買い物をして戻って、家に入ろうとすると――鍵がない。
 鍵を最後に触った記憶は、前日、出張で遅くなった夫を、閉め出してしまい、慌てて開けて――だから、きっと、鞄にも入れずに、玄関先とか、そんなところに放置してしまってあるに違いない。
 日本ではよくやってたけど、こっちにきて、正確には、ドイツ時代にもやらなかったのに。日本で、皮のホルダーで鞄にくくり付けることにして、だいぶやらなくなって、でも、こっちの二重回しの鍵だと、そのホルダーが使いにくいから、鞄の中に投げ込んでいたのが敗因か?
 と考えていてもしょうがない、まずは夫に――と、鞄を探ると、携帯も家の中に忘れていることに気づく。最近、帰るコール以外にほとんど使わなくなって、非携帯状態が続いている。むしろ目覚まし時計としての職務を遂行しているから、これはベッドサイドにあるに違いない。

 そのまま、夫の職場に向かう。仕事をしているところ、連絡もなく妻が入ってきたので、驚いていたが、理由を聞いて冷たい目になる。ひとしきり嫌みを言われ(夫はそういう忘れ物をいっさいしない人なので)、冷蔵庫から保冷剤代わりに水の小瓶をもらって、マルシェの袋に入れてまた家へ向かう。無事、鍵はPCの前で、携帯は、ベッドサイドで発見されました。

 東京にいたときも、鍵を忘れたことに気づくと、夫の職場にとりに行っていた。子供がいなかったときは、待ち合わせて一緒に帰るとか、とりあえず、夜ご飯を一緒に食べて受け取るとか。でも、子供を預けていると、そっちにタイムリミットができるので、まず、子供をピック、そして夫の職場まで行き、鍵だけ受け取って、タクシーで家へ。暗くなった中、完全なビジネス街でスーツのひとが行き交っている中を、子供を抱いて、門の外で待っているのは、つらかったなあ。

 高校時代の、やはり、職あり子ありの友人たちと、
「うちは、ドアに荷物をかけておくと『鍵忘れた、近くのファミレスにいます』のサインになってて、それ見て、夫が迎えにくる。その前の家だと河原で子供の手を引きながら石投げたりして待ってたこともあるな〜。『パパ遅いね』とか言われたりしてさ〜」
「私なんか、勢い余って実家に帰ったことあるよ!」
「えー、あんたの家って、今の家からJR三本乗り継ぎじゃ?」
「そう、で、次の日あるから泊まれないし、結局夜、夫に車出してもらって帰ったよ……」
 と盛り上がったことがある。全員が、敗因は、鞄を一つに決めないで、あれこれ入れ替えるときに忘れてしまうことが多い――と分析しているのに、なぜか改まらないところがまただめっぽい。
 このメンバーとはほかにも「仕上がった洗濯物をしまうのが苦手なことについて」もテーマにしたことがある。だめ人間自慢大会。

 午後、今度は娘連れでメディアテークへ。あまり好きじゃなかったんだが、ついに世界の常識ディズニーアニメを借りることに。ディズニープリンセスのオムニバスなのかな。そして「フランス語の勉強のために」(何度この言い訳を使ったことか)、フランス映画。これを機に、パトリス・ルコントを見るって言うのはどうか? と思ったが、ジャンル分けされた上でのタイトルABC順で、まったく探せず、結局、ジャック・タチの『Les Vacanves de Mr.Hulot』にする。これも、以前『Casa Brutus』で紹介されていたのを見て、見てみたいと思っていたもの。なんか、私の中の「おフランス」のイメージって……?

 そして、いつもの公園に出る。メディアテーク側は、なぜかカップルや家族連れが多い。静かにまったりとした空気が流れている。一方、いつも行く家に近い側は、家族連れは、まあ共通だけど、犬連れと、若者が多い。大学生くらいの男女混成7-8人グループがビール20本ケースや、ギターを持ち込んでいる。青春ですな!
 で、ひとしきり、ボールを投げたり蹴ったり、縄跳びを練習させてみてあまりにできないので写真を撮ってバカにしたり、いろいろやって、さて、帰るか、と立ち上がると、今度は、自転車の鍵がない。鞄をあさったり、ポケットを探ったりしても出てこない。遊んでいたあたりの芝生に戻って探すが、子供がいきなり遠くへ走ってしまったり、一緒に探すと称して、池に棒を突っ込んでかき回したりして、どんどん、テンパってくるのを感じ、あきらめて帰ることにする。
 とりあえず自転車を、トラムの駅のそばまで引いて移動して(これまた、子供が手伝うと言って、後ろから引っ張ったり押したりして迷惑だった……)、トラムに乗って帰る。
 自転車を置いて帰ると知って、急にことの重大さに気づいた子供が「パパに怒られるよ! バカって言われたらどうする?」
 うるせーーーーーー!!!!!!!

 なぜか、引っ越し時の最後の荷物の文房具類に混ざって、夫の職場にあった自転車の鍵のスペアを持って帰ってきてもらい、夜ご飯のあと、20時半くらいに自転車をとりに、また公園に行った。無事再会できて、嬉しくなり、夏至直後の23時くらいまで明るい公園の中を通って帰ってきた。こんな広大な緑地、ドイツ人だったら、ぜったいバーベキューセットを持ち込んで昼でも夜でも焼いてるだろうと思うのだが、夜になっても、この公園にはそんな人はいなかった。クーラーボックスでちゃんとグラスごとワインを持ち込んで、優雅に飲んでいるグループをいくつか見た。年齢層も、昼より上がっている。もちろん、ビールケース+ギターの青春チームも増えている。そういえば、さすがに日差しは弱まっているせいか半裸になっているカップルは減っているような? 
 子連れ野うさぎのいる斜面を見て、鍵に振り回された一日の疲れを癒して、家へと帰って行った。

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