2009年6月22日月曜日

発熱のこと

 そもそもの発端は、先週木曜日の私。いつものように「わーい、今日は自由時間の木曜日」と盛り上がろうとして、どうにも体の動きが鈍いことに気づく。夜、眠りが浅かったから? 生理直後で貧血気味なのか? と思いつつ、トラムで遠出の魚屋へ行き、戻ってくるとトラムの駅から、家までの歩きが、妙に脚が重い。午前中いっぱい寝るつもりで、とりあえず横になる。
 次に目が覚めた時、体が網で包まれて、その外に布団があるような違和感を感じ、なおかつとても寒い。遠くで、金管の音合わせをしているのが聞こえてきて、ゆうべ読んだ『百瀬、こっちを向いて。』の一篇「なみうちぎわ」に入ってしまったかな? と一瞬思うくらい、触覚/聴覚とも現実感がない。
 ずるずると起き上がって、ふと熱を測ってみると、37.7℃ある。もともと、風邪を引いても熱の出にくい体質で、37℃を超えるのは珍しい。いつも風邪の端緒となる喉にも異常がなく、予期していなかったので、かなりびっくりした。しょうがないので、子供のお弁当の残りを食べて、夫にSOSのメイルを出す。
 夫から、早退して子供の迎えは行く、という返事が来て、安心してまた寝込む。たとえ同じ2時間だったとしても、起きなくては、と思いながら寝るのと、寝て、自然に起きたら2時間だった――ではまったく眠りの質が違うので、とても嬉しい。東京にいたときだったら、こんなことはあり得ないので、その特別感がまた嬉しい。
 次に起きてみたら、暑くなっていて、体が少し楽なので、また熱を測ると今度は、38.7℃。月曜日は子供の遠足、火曜日は夫の出張、そして週末はまたドイツに子供コンサート+買い出しに出かけようともりだくさん。これは、みんなにうつさないようにしなくては、と、新型インフルエンザ対策で、夫の勤務先が大量に送ってきたマスクをかけ(使わないよと鼻で笑っていたのに、こんなところでお世話になってしまいました)、また寝込む。熱が上がりすぎて、体は逆に楽になってきているし、なんとなく贅沢な気持ちになっているせいか、他人のことを気にできる余裕ができたので、ちょっとおかしくなった。
 私の熱は、その後、ちょうど日付が変わる頃、がくっと平熱に下がった。さらに一晩寝たら、35℃台に。急激な体温変化に、逆に、体は疲れを感じたくらいだった。

 東京で暮らしていた頃、子供ができてからは、私の風邪にも、周りの大人は「じゃあ、子供にうつさないようにしないと」とか、「家族のために、はやく治さなきゃ」という反応をしやすかった。もともと、非寛容で、ひとに甘やかされたい性格で、弱っているときは、ますますその傾向が強くなっているので、そんな「親切な言葉」にいつもいらいらしていた。医者にそう言われたりすると今、この自分のつらさをどうにかしたくてここに来ているのに! と切れそうになったりしたものだった。

 が、珍しく、私が殊勝なことを思ったのに、天には通じず、日曜日には、子供が熱を出してしまった。土曜日、私はまだ本調子ではないので、夫と子供と二人でプールに遊びに行ってきたら、あまりに興奮したせいか、すごく疲れているなとは感じていたのだが……。
 翌月曜日は、子供の幼稚園では、年度末の遠足。ポニーのたくさんいる農場で乗ったりできるものだった。去年、泊まりだとしたら、どのくらい参加するかの希望アンケートをとって、75%に達すれば実行という話だった。当然、その時期はまだ、子供は幼稚園に慣れてなく、「エコールでお泊まり………」「ぜったいいや!」という状態。不参加の返事を出したのだが、どうも、不参加のひともほかにも多かったらしい。
 日帰りになって、企画自体は生き残り、子供も、幼稚園にすっかり慣れて、担任が「馬に乗る」とか「お弁当もってこい」と言ってくれたと楽しみにしていた。

 午前中は、37℃台だった熱が、昼寝を挟んで、38℃以上に上がってしまい、夜は、食欲もあまりない。お弁当の用意はしつつ寝る。朝、37.5℃と微妙な体温で、慎重派の夫が、やめにしようと決断した。子供はともかく、私はとても楽しみにしていたらしく、すごくがっかりしてしまった。思い出せば、子供の頃は学校が苦手で、遠足もいや。確か、小学校の高学年のときだったと思うが、体調を崩して、遠足に行かれなくなり、「良かった」と思った記憶がある。そんな私が変わるものだ。

 娘を一日家に閉じ込めておくとなると、油断すると、テレビやビデオを見っぱなしになってしまうので、紙を切って指人形作り。糊が使わないで放ってあったので死んでしまっていて、仕上がらなかったが、切ったり顔をかいたりはできた。午後は、手芸用品の引き出しをあさって、発見したビーズとテグスを使って、指環やブレスレットを作らせてみた(ビーズをテグスに通すだけの簡単なもの)。思ったより、集中力があって、自分のだけでなく、友達の、そして私のも作ってくれてちょっと驚いた。その間に、私は、子供のキャミソールにクロスステッチ。意味もなく買い込んである図案集から、単色でできる小さなサクランボのモチーフを刺す。スモーキーなローズピンクでなかなかシックにできたと悦に入ったが、分かりにくい前後を、子供に分かるようにするためだったはずが、間違えて背中がわに刺していることに気づく。がっかりして一枚で終わりにして、娘と並んで、彼女用のネックレス(さすがにここまで長いと本人だと根気が持たないので)を作ってやった。
 文字にすると雑誌『天然生活』に出てくる親子みたいでなんだか恥ずかしいですな。

 昼ご飯もたくさん食べた娘は、熱も36.6℃に下がって「やっぱり、無理に遠足に行かせておけばなんとかなったのでは?」とますます私を悩ませた。しかし、思い出すとブリュッセルに来て、もう10ヶ月になろうとしているのに、彼女が熱を出したのは、今回が初めて。がんばったなあと思うべきか、間が悪いと思うべきか。

追記:翌火曜日、幼稚園に行ってみると、遠足はバスの不都合?で延期になったとのこと。次の金曜日に行われるそうである。悪運強し!

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