2009年5月27日水曜日

同綴異義語について

 アルファベットの国で暮らしてみると、意外に同綴異義語とでもいうのだろうか、まったく同じ綴りなのに、国が違うとまるで意味が違う言葉がけっこうあることに気づく。日本人は(というか、私は)漢字ひらがなまじりのものを見れば、「お、日本語」と反応し、アルファベットだと母国語ではないと認識できるのだけど、アルファベット圏で暮らす人々は混乱しないのだろうか?
 ベルギーは公用語がフランス語、フラマン語、ドイツ語(一部地域のみだが)と三つあることもあり、各種の表示が各国語表示になっている。たいていはフランス語とフラマン語の二カ国語。銀行の窓口やらなにやらで多く見かける「ここ(此処)」はフランス語でici、オランダ語(そしてドイツ語も)hierなのだが、この「hier」はフランス語では「昨日」。最初に「hier」が目に入ったフランス語圏の人は「昨日? 何を?」とか思わないのだろうか? これは読めばフランス語=いえーる、フラマン語=ひあとなり、まったく違うのだけど、音も同じ、という言葉もたくさんある。

 英語でgiftといえば、贈り物だけど、ドイツ語では毒という意味になる。これは音も同じ。にっこり笑って箱を差し出され、「Gift!」と言われたら、一瞬びっくりしないだろうか? もちろん、前後に「It's〜」とか「〜for you」とかがつくので分かる――ということかもしれないけれど。

 以前、ドイツで、ミドルティーンの少年が、「BAD」と書いたTシャツを着ているのを見た。髪の毛も立てて、めいっぱいおしゃれをしている感じの少年だし(まだちょっと力が入りすぎている感じがするところがそういうお年頃ということだろう)、そのTシャツも格好よいものではあった。
 が、ドイツ語では「BAD」は風呂。もちろん、英語の「BAD」なんて初歩の初歩基本単語だから、その意味もすぐ分かるだろうけれど、ドイツ語圏の人が見たら、まず第一印象「風呂!?」なのではないだろうか? そもそも、着ている少年の自意識としてはどうなのだろうか、「これは風呂じゃないんだ! 英語なんだ!」といちいち意識しているのだろうか? それとも、そんな意識的に切り替えなくても自然に英語としての意味だけを考えることができるのだろうか?

 これは正確には同綴ではないけれど、デパートでONARAというマダムなブランドに遭遇したことがある。調べたらスペインのブランドらしい。これなどはどんなにスタイリッシュであっても日本では着にくいと思うのは意識し過ぎなのかな。

2 件のコメント:

Asako さんのコメント...

こんにちは!初めてコメントしますが、しばらく前からファンでした。

私もこれは不思議に思っていたことがあります。でもこんな心配をすること自体がマルチリンガルな文化に育ってないからなのかな、とか、一瞬にして「これは私の言語じゃない」ってはじけるのかな、とか、納得していたものです。機会があったらぜひ現地の方に聞いてみてください。

Amsel さんのコメント...

コメントありがとうございます!
そうですよね、私も興味あるのですが、現地の人に尋ねるだけの言語力がいまのところ(英独仏いずれも)私にない、というのが問題です(笑)。やっぱり、ものとか、見た感じを言うのはできても「気持ち」「どのように」を表現する。また、相手の表現からそれを汲み取るのはまだまだ今後の課題(そんな偉そうなものではないけど)です。

今後ともよろしくお願いいたします。