2009年2月17日火曜日

美容院のこと

 美容院に行ってきた。ブリュッセルに来てから二度目の美容院。日本にいるときは美容院、行くのが好きだったのに、やはり言葉が通じないと行きにくい場所のかなり上位にくる場所なのだ。そこで日本人スタイリストのいるところに行こう、と思わないところがまた、私のあまのじゃくなところ。
 私は、自分が髪に手をかけたり、流行を追ったり、いろいろ考えたり……が嫌いなのに、美容師の好みはうるさい。まず男であること。自分に自信があってこの髪だったらこうしたいという意見があること。でも、こっちはパーマもカラリングもする気がないので、安易に勧めないこと。もちろん、技術もあって、厚めのボブにしてもらっても切り口がシャープなこと。興味のない話をだらだらしないこと。日本で最後に通っていた美容院と、結婚前通っていた実家のそばの(今はない)美容院の美容師さんはまさにこのタイプで、とても気に入っていた。

 ブリュッセルで最初に行った美容院は、家のそば。いかにも街の美容院というところ。外からちらちら見て、ちょっとおなかが出ているけれどおしゃれなおじさん(50代くらいか?)がいるのが気に入って決めた。そのときは、お互い片言の英語で「でぃすれんぐす」「オオ、ハウイズフロント?」みたいな感じで会話した。外側と中側を「せいむれんぐす」と言ったのに、めちゃくちゃレザーを入れられて、ショックだったけれど、仕上がってみると、外からはストレートに見える量に調整されていた(いや、私の髪は日本人としても太くて多い)。最後におじさんに「フランス語は話さないのか?」とフランス語で聞かれ、「うーーーん、少しだけ」と言ったところ、とても残念そうだったのが印象的だった。

 ボンでは、美容院に行く前に雑誌を買って、ちゃんと想定問答を頭に入れてから行ったのだった。ある美容院で、最初のときに、ばっちり説明できた! 相手も理解できた! と思ったのに「で、どのくらい長く……」と聞かれ、え? 分かってない? とまた最初から説明すると、「うんうん分かった、で、どのくらい長く……?」と言われる。ええええ? と思って顔を見ると、「まあいいや」と切り始めてくれた――ところで、「どのくらい長くここに住んでるの?」と聞かれたことに気づく。恥ずかしさのあまり、そこから帰りたくなったが、その美容院は気に入って、そのあと何度か通うことになった。

 そこで今回は、あらかじめネットでフランスの美容院のサイトを見て、流行の髪型とその切り方、みたいなページの単語を頭に入れて、いざ新規開拓に向かった。ブリュッセル内にも何軒かあるチェーン店で、植物性シャンプーやトリートメントが売りの美容院に行ってみた。ここはカジュアルな制服着用で店員も若い。売りのシャンプーとトリートメントは確かに時間をかけてやってくれるし、日本のレベルには及ばないけれど、頭皮マッサージもしてくれる。肝心のお湯がぬるい……というか冷たいのはまあしょうがない。若い女性スタッフにあたってしまったのだが、説明を丁寧に聞いてくれる(まったく英語に切り替えてくれなかったが)し、まあいいや、と切ってもらい始めた。が、今回は丸めのシルエットにしてもらおうと思ったのは思ったのだが、うーん、やっぱりこっちの思うよりも思い切り量を減らされてしまう。耳にかかる部分を直線で切って残してくれているのも、やりたいことは分かるが、なんかそこだけ浮いているような……。

 でもまあ、髪型なんて命に関わるものじゃないし、気楽に考えようと思うことにして(という考え方がすでに重いが)、さて、次はまた別の店に挑戦してみよう。

2009年2月11日水曜日

面談のこと

 幼稚園の担任と個人面談があった。

 第二四半期の面談の希望をとります、というお知らせが連絡帳に入ってた時点で、すでに夫は逃げ腰。担任は、確かにフランス語しかできない。英語はかなりおぼつかない。私も英仏ともにおぼつかない。という状況で何を話すのだ? という当然の疑問。が、これまでも、さすがに国際児を担任する先生だけあって、そんな私とも根気づよく、分かるまで何度もゆっくり、身振りを加えてでも話してくれる人だというのが分かっていたので、蛮勇を奮って(?)面談の希望を出しておく。その希望に「すみません、フランス語勉強中なので、まだうまく話せませんが」的なメモを加えておいた(勉強中、ははっきり言って嘘……。そして、その文章は『よつばと!』台詞の応用……)
 途中、日時の確認を経て、全員の予定が貼り出されてみると、うちが全員のトップ。月曜の授業前。先生には「フランス語がわからなくても大丈夫、筆談しながらでも話しましょう」と言ってもらう。

 週末から、夫や娘に「なにか話すネタはない?」と聞いてみるが「なにもない」とにべもない。
 私「なんか、心配事とかないの?」
 夫「今はないなあ、慣れて落ち着いてるみたいだし。最初はどうなるかと思ったけど」
 私「お前は? 実は嫌なこととか、つらいこととか、この際言っておきたいことは?」
 娘「ないよ」
 私「ほんとに? エコール楽しいの?」
 娘「楽しいよ」
 夫「こっちから話す必要ないんじゃない? 向こうが話すの聞いてくればいいんだよ」
 私「ええええええ」

 というわけで、結局、フランス語で「彼女はフランス語を、クラスを理解できてるでしょうか」「彼女は臆病(引っ込み思案)すぎるように思います」を調べて頭に入れて、あとは白紙で臨むことに。

 さて当日。にこやかに迎えられて教室の子供用机に向かい合って座ると、まず、私に発言を促してくる。ので、しょうがないから「彼女はフランス語を、クラスを理解できているでしょうか」をぶつけてみる。と、「できています。もちろんフランス語のボキャブラリーはかなり少ないですが、ほかの子供たちをよく見て、それで理解しています。10月から来始めて、まだ4ヶ月なので早いと思います。九月からは、上のクラスに上がれますよ!」とここまでフランス語ながら非常にゆっくり単語を一つ一つ発音してくれたのでなんとか理解、で、次に、担任が質問していたのがわからない。えっと……という顔をしていると「She likes school? Enjoy?」と英語に切り替えてくれる。ので、こっちも英語で「はい、1月からはとても毎日楽しんでいます」と返事。と、またフランス語に切り替わって「クラスでの作業や、外での遊びを通じて、いろいろ言葉を理解しています。一番仲が良いのはやはり(もう一人の日本人の名を挙げて)ですが、彼女は、2歳のときからこの幼稚園に通ってますし、兄弟もまたここに通っていて、フランス語ができるので、彼女を通じてほかの子ともコミュニケーションできています」。こちらの反応を伺っているので、「お友達の名前をたくさん聞くようになり、私もうれしく思っています」を言おうとし、まったくフランス語が浮かばず、やはり英語で通す。と、フランス語で「この学校はクラス単位でなく、ほかのクラスとも一緒に遊んだりするので、かなり友達が多くなります」と返ってくる。ところどころ英単語を挟んでくれる。あとは向こうからベルギーには何年いる予定なのか、とか、この幼稚園の後は、小学校はこの上に上がるのか、ほかを考えるかなどなどと聞かれ「2年か3年、次の学校についてはまだ考え中」と返事。そこで「彼女は臆病(引っ込み思案)すぎるように思います」をぶつけ、「最初は大変でしたが、もう大丈夫です」とのお返事をいただく。最後に「私から見て、何も問題はないですよ!」と言ってもらって面談終わり。
 10分の予定のところ、7分くらいしかもたなかったので、がっかりするも、そのあと、子供と夫が到着するのを待っていたら、次のご両親(そのおうちは一家で登場した)も同じくらいで終わっていたので、なんとなく安心。変なところが小心者だ。

 その日は、その後、夫の秘書氏のお誕生日に花束を買う、のミッションがあり、夫とともに職場のそばの花屋で「30の女性の誕生日の花束が欲しいのですが」「予算は?」「30ユーロで」の会話がこなせて満足。でも次の色の指定で、「赤は良くない! いや、この黄色のゾーンの花は選ばないで(おそらく値段的に合わない)、こっちの花から選んで」とか言われてあわあわしてしまったけど。

2009年2月2日月曜日

雪のこと

 月曜朝、気づいてみたら、外は雪だった。
 夕方はどんどん日が延びているとはいえ、朝はまだ8時でも暗い。しばらく見てやっと、積もっているのみならず、今まさに降っている、と気づく。近くの屋根がみるみる雪で覆われていく。この冬、3度目の積雪である。

 最初の雪は、まだ11月のうち。週末遊びにいっていたドイツで小雪に降られて、へえやっぱりドイツはベルギーより寒いんだねえなどとのんきに帰ってきたら、こっちは積もっていたのだった。雪靴は? 防寒対策は? などなど気持ちが焦ったのだが、夫の秘書氏に聞いてもらったところ、積もるほどの雪は珍しい、年に一度あるかないかだ――とのことで軽く見ていたのだが……。

 二度目の雪はすごかった。仕事始め、エコール始めの1月の最初の月曜日だったが、ちょうど異常寒波が来ているところで、最高気温も氷点下、一時は日中も氷点下10℃という日が続いた。なので、月曜日に降った雪が火曜、水曜と晴天なのにまったく溶けず、粉雪状態が続いていた。
 トラムの通る大通りのマロニエ並木も雪景色ですっかりロマンチック! 関東育ちで雪が珍しく、毎日遊び歩いたり、窓を開け放しておいたりして、私はすっかり体調を崩してしまった。馬鹿すぎる。
 それでも、ベランダのてすりに小さなつららができているのを見て子供と興奮したり、幼稚園の行き帰りに雪をぶつけ合ったり(粉雪すぎて雪玉にはならなかったし、雪だるまは私たちには作れなかった)して堪能。
 こっちの人は雪は楽しまないのか、住んでいる建物の一階の庭も、人が出た様子もなく、雪はきれいなままだった。近所のドイツ人一家の玄関先に絵に描いたような西洋雪だるまができていたくらいだった。
 が、土曜日、夫が企画して、段ボールを切ってそりを作って公園に出かけてみると、どこからわいたのかというくらいに人がたくさん。みな、ちゃんとした木製のそりや、プラスチックのそり、簡単なお尻の下にしくうちわみたいのを持って、斜面をどんどん滑っている。わが段ボール号はそもそも滑りが悪いうえ、何度か滑っているうちに崩壊してしまった。
 今度、今度こそはぜったいそりを買うから! と息巻く私。子供のいないドイツ時代にも、そういえば雪が降るたびに「そり! そりが欲しい!」と大騒ぎしてたのだった。あのときはクロスカントリースキーをやっていたので、それで森にいったりもしたのだったっけ。にわかに、古くなってもう重いしとスキー板を処分してきたのがもったいない気持ちになったり。
 雪原を走り回りながら見ると、いつも自転車やキックボードの練習をしにくる公園が、なんだかブリューゲルの絵のように見える。
 翌日曜日には、もうだいぶ雪は溶け、私たちは町中に遊びにいってしまったが、トラムから見ると、地表の出た斜面でまだまだ楽しんでいる人たちは多かった。丸一週間楽しめた雪。元は取れた~! という気持ちになったが、「元」ってそもそもなんだ?

 さて、三度目の雪。天気予報を見ると、最低気温こそ氷点下だが、日中はプラスの予報、水曜日には晴れるという。さあ、そりは買うのか買わないのか……。