2008年12月15日月曜日

猫のこと

 ドイツではあまり外で猫を見なかった。犬はたくさん見たけれど。ドイツ人は猫嫌い? と最初は思ったのだが、その後、視線を感じてふと見ると、出窓に座る猫と目が合ったりして、やはり、猫も飼ってはいるようなのだった。
 ベルギーに来てから、家の外に出ている猫をよくみるようになった。日だまりに丸まっている猫、飼い主と一緒に庭に出てきた猫などなど。

 住んでいるこの建物にも猫がいる。黒く細い美猫で、少しお年を召しているのかな、銀のメダルのついた首輪をしていて、遠目に見るとのどに光って見えて、ポーの『黒猫』を思い出させる。最初に見たとき、一階の庭にいたので、その部屋の猫なのかと思っていたが、道の向かい側の家の玄関前で丸まっていたこともあるし、地下に住む管理人さんにまとわりついていたりで、よくわからない。

 ある日、エレベータからその猫を抱いて上の階の人が降りてきた。そして、なにごとか話しかけながら、表玄関を開けて外に出してやっていた。これで、この猫の飼い主はこの人で決まり! と私は思ったのだが、「入ってきちゃって迷惑だから出しにきたんじゃない? わざわざ外まで出して、玄関も閉めたよ」と夫。うーん、人なつこい猫と、家に入られるのは嫌だけど猫好きの人、という図にも見えなくはない。謎は深まるばかり。飼い主?氏とは挨拶を交わしたんだから、ちゃんと聞けば良かった! と後悔したのだが、そもそもたいした問題じゃない。

 家族で出かけたフォロン美術館のカフェで、セントラルヒーティングの上のひさしというか棚に、どうどうときじ猫が寝ていた。そのすぐそばの席に座ったおばさんが写真を撮ったり、連れのおじさんが足の裏をくすぐったりしても、いやそうに耳を動かしたり、足で払ったりするくらいで、ぬくぬくと寝ていた。ずいぶん経って、その席の客も入れ替わったころ、寝飽きたのかふいに起き上がって棚伝いに早足で去り、店と厨房との間のカウンターに上った。カウンターの中の人にお尻を叩かれ、厨房の中に入っていった。
 寝ていたときはまるで気づかない様子だった客の犬たちが、起き上がって猫が伸びをしたとたん、いっせいに吠えたのがおかしかった。

 その後のある日、外から帰ってきた私に、玄関の外で待ち構えていた黒猫がにゃあにゃあと訴えかけるので、開けてやると、さっと入り、次はエレベータの前で乗せるように催促。「リフトは乗せてあげないよ、階段で上がりなよ」と(もちろん日本語で)言ったら、黙ってちょっと見返してから、さっと階段を上がっていった。

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