2008年12月10日水曜日

コミックのこと

 ブリュッセルは漫画専門店もあるし、ちょっと大きめの書店にいけば、コミックコーナーがあって、日本の漫画の翻訳もたくさん入ってきている。家の近くの繁華街の書店で『ハチミツとクローバー』最終巻を発見、フランス語の勉強になるかもと言い訳しつつ買ってしまった。それを見つけた娘に、次は『よつばと!』を、とねだられて、「そんなのあるわけないよ~」と言っていたのだが、都心に出たときに、ついにフランス語版を見つけてしまったのだった。
『よつばと!』フランス語版は現在、7巻まで刊行されている。一番好きな6巻を買って帰った。

 大量に、しかもメジャーでないものも翻訳されて、流通している日本のコミック。五十嵐大介の『リトル・フォレスト』や入江亜希『群青学舎』なんてあるし、『きょうの猫村さん』なんて、背景がわからず読んで面白いのか? と思ったり。『オトメン(乙男)』や、『夏目友人帳』もある(『夏目友人帳』は、『妖怪との契約』みたいなタイトルになっている。妖怪はyokai)。

 前回、ドイツにいたときは、コミックに対する飢餓感が強かったが、こうなったら、翻訳されるのを待ってコミックは買えば良いのではないか?
 と、つい頭に血が上ってしまったが、冷静に考えると、まず、コミックは翻訳だからもあるだろうけど、けっこう高い。ネット書店で国際送料を払って買っても、そのほうが安いくらい。どうせ、新刊を刊行日買いで読みたい人間なのだから、時間的なものをとってもそっちのほうがずっとましってものだ。
 そして、翻訳されると、文字量が増える。『ハチミツとクローバー』(以下『ハチクロ』)でさえ、文字が多くて圧倒される気持ちになるのだが、オランダ語版『DEATH NOTE』に至っては、あまりの黒さにすぐ閉じてしまったくらいだ。『よつばと!』くらいの分量が私のような軟弱者にはちょうど良い感じ。

 ところで、この買った二冊を読んでいて、ふと違和感を感じた。それは書き文字。

『ハチクロ』はオリジナルの書き文字を尊重し、日本語で書かれた「ドガッ」「ブオッッ」から静かなシーンの「サアアア」(雨の音)なんていう文字は残しておいて、脇にDOKANG、BWOOM、SHAAAと補っている。また森田に花本先生がお金を投げ返すシーンでは、札束の絵はそのままとして、その枠外に10000yen = environ 60 Eurosと注を入れている。呼び名だって、竹本くんははぐを「HAGU-CHAN」と呼ぶけど、花本先生は呼び捨て、というのも踏襲している(でも、あゆのことは、花本先生もYAMADAと呼び捨てしているし、藤原デザインのメンバーも美和子さんを呼び捨てで、すべて踏襲ということではない)。

 一方、『よつばと!』は書き文字もすべてフランス語で起こし直している。圧巻なのは「よつばと牛乳」の章扉。各種の牛乳パックやびんに囲まれて牛乳を飲んでいるよつばの絵なのだが、牛乳パックのロゴ等がすべてフランス語。明治のおいしい牛乳は「LE BON LAIT」。私が日本で買っていた懐かしの千本松牛乳や、木次牛乳だって、「LAIT DES PLAIRIES SENBON-MATSU」「LAIT KISUKI sans hormoge」がきれいにロゴとして配置してある。よくよく見ると千本松牛乳の縦に入った「生乳100%」とかは残っているけれど……。そういう目で見ると、風香の15才シャツも15ansだった(風香が着ている16才シャツのほうは胸の下で歪んでいるせいかそのままだけど)し、シュークリームに風香が、風♡と書いて貼った文字はFUKA♡にかえられている。お金に関しても、注は使わず、ユーロ換算でせりふにそのまま使っている。
 出版社の考え方の違いなのだろうか? 最初は、書き文字をわざわざ書き換えるなんて、とか思っていたが、慣れるとこれもまた面白いと思うようになってきた。書き文字の人らしきクレジットも入っているし。

 さらに、重箱隅な読み方をすると「よつばと金曜日」の章で、よつばが「とーちゃん! めいしくれー!!」ととーちゃんを起こし、ふたりで朝ご飯を食べる、というシーンは、名刺とめしがかかっているのだと思うが、そのままになっているし、とーちゃんの「とーちゃんクールビズなんだが」という台詞は、「いつもはネクタイしないんだが」みたいな台詞に置き換わっていて、当たり前なんだけどちょっと残念な感じ。一方おなじ章で「エクレア」を初めて聞いたよつばが日本語ではただ「エクレヤ――!!」と返すのに対し、フランス語では、「un éclair」に対して「Netz clair?」(鼻がすっきり、というような意味なのか?)とひっかけてある。

 などなど面白いことはたくさんあるけど、最初の購入動機(というか言い訳?)のフランス語の勉強になっているかははなはだ謎。そもそも、読めたってしょうがない、聞けて話せないと!

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